希望病棟
垣谷美雨 著
小学館
このお話の主人公は、名前がとっても面白い「黒田摩周湖(ましゅうこ)」先生。病院で医師として働いていますが、孤独な幼少期の影響か自分の気持ちを上手く伝えることができません。そのため患者や職場の人たちからは、神経を逆なでするようなことを平気で言う人だと思われ、上手く馴染めずにいます。
新しく移動した病院で、二人の末期癌患者を担当し治験を勧めます。そんな中、病院の中庭で患者の心の声を聴くことができる不思議な聴診器を拾います。
その聴診器のおかげで自分の考えに自信を持って行く摩周湖先生。そして、治験を終え生き直すチャンスをもらった二人の患者が進む未来が描かれています。
この作品は「後悔病棟」という作品の続編だったみたいです。知らずにこちらを先に読んでしまいました 「後悔病棟」の主人公と思われる人物も登場していました。続編でしたが、主人公が他の人に変わっているからかこの作品からでも十分楽しめましたよ
私の予想が外れたり、最後に思わぬことが判明したりと、予想外の展開が面白かったです。奨学金制度とか、児童養護施設で暮らす子供たちの自立の大変さなど、課題もたくさん出てきて考えさせられました。それでも、患者の一人がいい意味で開き直って新しい人生を進んでいくところや、思いがけないところに味方になってくれる人が居たりという展開が、読んでいて前向きにさせてくれました。
次は「後悔病棟」を読むぞ!