『施設のミカタ』 ~医療・福祉業界がよくなっていくために~

『施設のミカタ』 ~医療・福祉業界がよくなっていくために~

「医療・福祉業界がよくなっていくためにいち企業・いち個人に出来ることは何か?」を追求し続けるブログ。
過去160冊以上に上る業界向けの書籍の書評や、実体験による気付き、感想を発信します。

Amebaでブログを始めよう!
医療が変わるto2020―DPC/PDPS・地域連携・P4P・臨床指標・RBRVS・スキルミクス・etc
医学通信社 武藤正樹(著)
$『施設のミカタ』 ~医療・福祉業界がよくなっていくために~

本書は、医師を経験し、現在医学系大学の教授や研究機関の代表を務める
武藤正樹氏が、これからの医療業界の展望を示した一冊です。

これまで様々な医療系の書籍で出てきたキーワードにつて、
本書では大部分が網羅され、その現状・海外状況・日本での今後が分かるようになっています。

主に診療報酬制度による誘導策の中で、
今後業界全体としてどのように動いていくかがチェックできます。

今後の展望を示すいくつかのキーワードをチェックします。

まず地域医療に関しては、病病連携・病診連携が重要となり、
そのために地域連携クリティカルパスの整備が急がれています。

また、診療報酬に関しての動きとしては近年導入が活発となったDPCを始め、
日本版RUG、P4Pなど、包括払いと質の評価の動きが出てきています。

医療供給に関しては、チーム医療・スキルミクス等による生産性確保や、
ナースプラクティショナーなどプライマリケアにおいても変革が進んでいくそうです。

包括支払いになった際には医薬品・医療材料の問題が出てきます。
その際にジェネリック医薬品の利用及び質の担保が重要になってきそうです。

このように医療業界の中の各分野で海外の先進事例が検討され、
診療報酬による誘導策がそれぞれ図られています。

私の個人的な感想では、これら様々な事象がつながり、
有機的に機能することで、多くの問題が解決出来るのではないかと思います。

ですが、現実的には制度の落とし穴や不具合も現場では多く出ると思います。
それぞれの医療機関にとって有益に働き、業界が活性化していくよう、
制度が整備されていく事を願っています。


――――――――――――――――――――――――

<書籍データ>
医療が変わるto2020―DPC/PDPS・地域連携・P4P・臨床指標・RBRVS・スキルミクス・etc
医学通信社 武藤正樹(著)
2011年5月10日 発行

――――――――――――――――――――――――
ヘルプマン!』1~19巻
講談社 くさか里樹
$『施設のミカタ』 ~医療・福祉業界がよくなっていくために~

ブックレビュー始まって以来、初めてのコミックのご紹介となります。

『ヘルプマン!』はもうかなり有名で私も名前は聞いたことがありましたが、
機会がなく手に取ることがありませんでした。

ですが、様々な福祉系書籍で『ヘルプマン』が紹介されているのを目にし、
満を持して、全巻セットを取り寄せて年末をかけて読むこととなりました。

読み始めてびっくりしました。

これまで様々な書籍で見てきた介護業界の現実や問題点、そして解決策まで、
ストーリー形式でリアルに描かれていました。

それもそのはず。
書籍の巻末にはストーリー作りのための取材協力の方の名前がずらり。
毎回10~20名の方への取材調査の末に出来たストーリーだったのです。

取材協力者には、ブックレビューでもご紹介した三好春樹氏や、
袖山卓也氏の名前もありました。


本書の内容としては恩田百太郎という熱血介護士と、
神埼仁というキレ者の介護士・社会福祉士によるストーリーです。

「介護保険」「高齢者性問題」「認知症」「介護職員処遇」など、
介護業界をめぐるタイムリーな問題をテーマとして、それぞれの
ストーリーが構成されています。

本書を読んでまず驚くのは、介護をする家族の苦しみ・現実が
ありありと描かれている事です。

いつかは誰もが直面する親の介護に関して、様々な立場・性格の登場人物が
実際のストーリーの中で苦しみ、葛藤します。

私自身に置き換えられる場面も多くあり、
読んでいてついつい嗚咽してしまうこともありました。

介護保険制度の落とし穴、矛盾がありありと描かれ、
現状の制度では助からない高齢者・介護者の姿を垣間見ることになります。


しかし、本書がストーリーとして優れているのは、
この問題の指摘に留まらないことです。

主人公の二人はこれら制度による様々な問題に対して立ち向かい、
斬新かつ現実的な手段で物語をハッピーエンドに向かわせます。

高齢者・介護者・介護士など関わる人全てに笑顔が戻る瞬間は鳥肌が立ちます。
その1話1話を通して、本当の意味での尊厳とは何か?を考えさせられます。

介護の苦しみ、処遇の悪さによりついつい忘れてしまう大切なこと。
これらを教えてくれる、素晴らしいストーリーです。


これらの物語が全て取材に基づいている事にも驚かされますし、
巻末には渡邉美樹社長とのインタビューや用語辞典など、
一冊を通して介護業界を俯瞰できるような一冊となっています。

将来介護の問題に直面する全ての方にとって心の準備となり、
また希望を持つことのできる、素晴らしいコミックだと思いました。


――――――――――――――――――――――――

<書籍データ>
ヘルプマン!』1~19巻
講談社 くさか里樹

――――――――――――――――――――――――

新版医療マーケティング

日本評論社 真野俊樹(著)


『施設のミカタ』 ~医療・福祉業界がよくなっていくために~


2003年に出版され、医療に「マーケティング」を提唱した最初の書籍、

『医療マーケティング』を書かれた真野俊樹氏による新版が出版されました。


従来の「売る」というマーケティングではなく、情報の非対称性に代表される、

患者と医者の距離感を縮めるために、両者の関係をよくしていくために、

コミュニケーションでもあるマーケティングが必要であると訴えました。


【『医療マーケティング』を紹介した過去の記事】

http://kingrun.blog40.fc2.com/blog-entry-133.html


新版では、このコミュニケーションスキルでもあるマーケティングをベースに、

時代の変化に応じた新しい知見がプラスされています。


新版で加味されたものとしては、「ソーシャルマーケティング」の普及と

ITの進歩、という大きな背景の変化です。


ここでいうソーシャルマーケティングとは、公共・非営利組織の

社会的キャンペーンにマス・マーケティングの手法が取り入れられたもので、

記憶に新しいものでは、「メタボ」の概念の普及があげられています。


また、ITの進歩派Wen2.0に関するものがあげられ、

ホームページを利用した顧客視点の情報提供の重要性が上げられています。


本書を通して医療マーケティングをいかに応用していくか述べられていますが、

医療マーケティングにおいて重要なのは、患者の視点に立ち、

患者の満足、信頼を得ていくことであることが繰り返し謳われています。


また、そういったサービス業という視点だけでなく、

正しい医学的知識を普及することで、正しい患者行動を取ってもらう。

そのためにもマーケティング思考が重要であるとしています。


その点、時代が変わってもコミュニケーションをベースとした

医療マーケティングのポイントは変わっていないのだと感じました。


今後の医療業界の向かう方向を知る上で参考なる一冊でした。


――――――――――――――――――――――――

<書籍データ>
新版医療マーケティング

日本評論社 真野俊樹(著)

2011年7月20日 発行


――――――――――――――――――――――――