ま、とにかく、私は空手で帰る訳には行かないものですから、ゴミが山のように積まれた店舗部分の清掃ぐらいは仕事としていただこうと、提案をしまして、見積の依頼を受けました。これ以上ここに居ても仕方がないので、A、Bと私は昼食をとりに行くことにしました。近くの飲食店での昼食の最中、話題は倉の中の骨董品の行方、オーナーHの風貌が主なもので、私は私なりの見識の範囲で、BやAにHとのビジネスには十分な注意が必要であると助言をしました。するとBは、「既にリース会社の与信が通っているので、代金については問題ない。」との返答があり、私としても、Bから支払を受けるのであれば、貸倒の危険性は少なくなるだろうと、少し安心したのでした。
さて、この話に登場する建物において、どのような仕組みでリフォーム工事が行われるのかを説明しておかねばなりません。なぜならば、その契約関係が、後の話の非常に重要なポイントとなるからです。この時点で判明している契約関係を整理しておきます。
①古い商家の土地・建物の所有者は、オーナーH
②オーナーHは、建物(古い衣料品店)をリフォームした後、飲食店として開店させようとしている
③Bは、Hからリフォーム工事を請け負っている
④Aは、Bから設計監理を委託されている
⑤私はAの紹介により、Bからリフォーム工事施工箇所の清掃を請け負うこととなった
⑥Bが受け取る工事代金は、リース会社より支払いが約束されており、リース会社(以下、Mリース)・オーナーH間で契約は整っている
⑦完工前にMリースからBに対して工事代金の50%が支払われ、完工後に残金が支払われる
という契約関係及び状況でした。
私は事務所に戻り、早速見積書を作成してBに提出をし、承認を得ました。清掃の施工日程を伝え、Bはゴミが片付かない限り工事ができないとのことでしたので、急ぎ目の日程を組みました。
【本日これまで】