え~と、引っ越しの荷ほどきは、遅々としてですが、
少しずつ、進んではいるのです…。
あのね、荷ほどきをする前に、
どこの部屋を、何の部屋にするのかと言う事を、
梅子さんと、協議しなければいけないのです…。
あのね、購入した一軒家は、二階建てなのですけれど、
おいらは、足が不自由な事も有って、
取りあえず二人は、一階だけで暮らすつもりで居るのです。
え~とね、一階だけでも間取りは、5LDK有るのです。
完全に、リフォームは済んでいるので、
全然、問題は無いんですけれどね…。
「この部屋は、何の部屋にするのか?」
と言う問題が、ちょっと勃発しているのです…。
おいらの寝室と、梅子さんの寝室の他に、
あと3部屋有るのですが、
その内の一部屋は、おいらの仕事部屋にするつもりで居ました…。
ところがね、梅子さんが仰るには、
「ここは箪笥部屋よ! 大きな、ウォークイン・クローゼット」
「ここは私のミシン部屋でしょ! だってピッタリじゃ無いの?」
「ここはサンルームでしょ! ここで、ゆったりと寛ぐのよ」
そう言って、どこも譲っては呉れません。
「あの~、おいらの仕事場は?」
そう言うと、リビングの隅の、一角を指定されました。
「あの~、まだ仕事が入って来るかも知れないし…。
って言うか、確実に、入って来ると思うんだけれど」
「でも、もう大きな仕事は、入って来ないんでしょ?
例え入って来ても、もう受けるつもりは無いんでしょ?」
梅子さんは、おいらの心を、完全に読み切っています。
仕事はまだ、確実に入って来るとは思うのだけれど、
大きな仕事は余程の事が無い限り、もう受けるつもりは無いのです。
「いや、でもな~」
「本気で、仕事をするつもりに成ったら、
二階を使えば、イイじゃないのよ」
二階は、現在、全く使っては居ないのです。
二階は、2DKなのですが、
DKと、8帖の和室と、40帖弱の洋室が有ります。
洋室の方は、フィットネスクラブとか、学習塾とかが、
十分に開けるくらいの広さが有ります。
おいらのような、弱小の工業系プログラマーが、
事務所を構えるには、大き過ぎるくらいの広さなのです。
何だったら従業員を、2~3名くらいは雇っても、
きっと、やって行けると思います。
梅子さんは、何て言うか、
おいらの事を、ある意味で、試しているのかも知れない…。
でもね、おいら仕事が嫌いな訳じゃ無いんだけれど、
はっきり言って、今はもう、そんなに熱意は無いんです…。
ほとんど趣味のような感覚で、
仕事は、楽しみとして続けているだけで有って、
金銭的にも、何の不自由も、しては居ないのです。
そこのところの感覚がね、
ちょっと、食い違っているのかも知れない。