普通に、ど定番直球のホラーでした。
しろあです。
まず大前提として。
私の好きなホラー映画のひとつに『パペットマスター』があるんですよね。
今回紹介するのはこちら。
説明を受けなくてもわかると思いますが、人形が襲ってくる怖い話です。
この人形は、最先端のAIロボット。
ロボットの暴走でえらいことになる……というホラーのど定番の展開が待ってます。
でも、なんか期待したくならないですか??
AIやコンピュータの発展により、人間が不要と判断したロボットが人間を排除しようとする、
というプロットは、SFの初期よりすでにやりつくされてるんですが、
SFの初期、日本では高度経済成長期くらいだと、まだまだロボットの技術が今後どうなっていくか
わからなかった部分があります。
その分、想像で埋めていたし、
その想像を実現するガジェットをその後の世代が実現していった部分はあります。
スマホとかね。
この科学技術が発達した、生成AIも実用化されてきた現代で、
このプロットの作品を作るとどうなるか!!
この辺がこの作品『ミーガン』の見どころかな、と思いながら見てみました。
……残念ながらこの部分では期待はずれ。
というのは、技術的にリアルになっている部分はありますが、
ホラーの展開、演出に関しては、逆に70年代レベルと変わらないんです。
技術が進歩した分、”そうか! こんなことが起こるのか!” とか
”なるほど! そんな考えはなかった!” という発想の驚きが欲しかった。
とはいえ。全般的には丁寧に作られた作品です。
わかりやすく言えばキューブリックの雰囲気を感じる作品。
色合い、演出などなど。そこここに散りばめられています。
ミーガン、というAIロボット。
これは基本的には子供向けのおもちゃとして企画された商品です。
作中の設定では1体100ドル。
……150万円と高価ですが、本当に実現できてれば逆に安い。
というのは、ものすごい機能が備わっており、
一緒に遊ぶことはもとより、子供の見守り、勉強を教える、しつけをする、家事をするなど、
ベビーシッター + おもちゃ + 友達 + 先生 + ……親
くらいの仕事をします。安いでしょ?
子供と会話しながらAIは子供のことを理解し、
傷つけずに接してくれるから、子供としても最高の相手でしょう。
作中の子供は依存してしまい、親はいらないけどミーガンは手放せない状態になります。
これはこれでこわい。
ミーガンの前作のお友達ロボットが冒頭で登場します。
このロボットはスマホやタブレットと連動していて、たまごっちのように
アプリ上でお世話をすることができます。
子供は旅行先に向かう車の中で”うんち”の処理をするんですよね。
そのときに親はタブレットに夢中に向かって「そんなクソみたいなゲームはやめなさい」
と注意します。けど、子供はやめない。
−−この辺は英語を少しかじってると笑えるシーンなんですが、これが実は伏線になってます。
終盤、子供がミーガンに襲われるときに
「こっちくるな! このクソロボットが!」みたいなセリフをいいます。
自分が遊んでいたものをここで自分自身も ” Shit! = くそ! ” と言い放つところが
冒頭のシーンといい対比になっていて笑えるようになってました。
ある意味、こどものおもちゃ離れも表現したかったのかもしれません。
(いや、それはないか)
丁寧に作られたといいました。
ミーガンの動きはとてもクールで楽しい。
これは間違いなくこの映画の見るべき価値のひとつです。
劇中で動くシーンはそれほど多くはないのですが、終盤のおもちゃ会社で
暴れまわるシーンはなかなかしびれますよ。
ホラー映画らしく、尺もちょうどいいので、
スカッとホラーを楽しみたいときにはおすすめできる作品です。