夜中の公園。

 彼からの電話、最後の。

 “もう終わりにしよう。御前はひとりで何でも出来るから、俺が居なくても大丈夫だよな”


 なんて、そんな言葉を別れ際に言われた。


 
 ひとりで、大丈夫。

 そうだね。

 私は、それだけを返して、電話を切った。



 いつも、私から別れを告げる。
 

 そうしたら、同じ台詞が、いつも返ってくる。

 

 “御前は大丈夫”

 “ひとりでも強く生きていられるよ”




 “彼奴には俺が居てあげないと”





今まで




.
.
.







 “...私には誰も居てくれないの?”

 

“私の寂しい...気持ちは...気付かないの?”




“何も言わないから...?”



泣いて、寂しいから抱いて。

なんて、言えば良かったの?

それを言って欲しかったの?



いつも、都合のいい奴としてしか
見ていなかった貴方に

可哀想な私を見せればよかったの?







貴方との始まりは慰め合いから
始まった愛だったじゃない。





貴方には奥さんが居て
私には、誰も居なくて寂しくて。

最初は別に気にならなかった。
んーん...気にしない、フリをした。

貴方の左手薬指にある指輪の冷たさを
肌で感じる度に、私心が冷めていく


愛も冷めていたんだけど
私は、温もりだけが、ただ欲しくて

誰でもよくて
貴方も誰でもよくて。

同じだったのに

貴方は違った。


私ばかりを求めるようになった。





“奥さんよりも、キミが欲しい”


“キミさえ居てくれれば、他には何も要らない”



“奥さんとは、別れるよ”







なんて

簡単に別れる
だなんて話

嘘ばっかり


こういう
大っ嫌い。


私に代わった次は
誰に言うの??
その台詞


奥さんだけ

だったら

まだ、私も...

なんて想えたのかも知れないけど





娘さんが居るって
嬉しそうに話してた貴方の顔は

ちゃんと
素敵なお父さんの顔をしてたじゃない



その貴方の顔が忘れられなくて

その娘さんから

お父さんを奪うなんて
私には出来ない。



私の愛に

カタチがつくまえに


そっと
消してしまおう








これで

終わりにしよう。



私には

何度も
諦めてきた

想いが沢山あった




相変わらず

まともな恋愛はしたことがない


ひとりで
生き続けるのは
寂しいものね


...