
軒からハープの弦のように張られた糸は鳥を防ぐためです。
糸を張っておかないとリンゴなどの甘い果物は鳥に食べられてしまいます。
実際に別の農家の家の門口にある無人販売所で、ヒヨドリがリンゴを無銭飲食しているのを見たことがあります。可愛かったのですが・・・。

ヒヨドリ
出典/ ズカンドットコム 日本の野鳥識別図鑑
スズメくらいの小鳥では厚いリンゴの皮を破くことは難しいでしょうが、ヒヨドリのくちばしなら簡単に食べることができますね。
イワナやニジマスなどの養鱒場では稚魚がトビなどに取られないように、いけすの上に琴のように綱を張っています。

トビとカラス 出典 日本の野鳥識別図鑑 ズカンドットコム
吉田兼好によれば、「後徳大寺」の大臣という人が本殿にトビを止まらせないように綱を張ったところ、それを見た西行が『トビごときに綱を張るなど見苦しい、当家の主人はこの程度の人なんだろう』と言って二度と行かなくなったそうです。
そののち、綾の小路の宮の住む小坂殿にも綱の張られていたのを見た時に、ある人が『実はカラスが群れて、庭の池の蛙を取るので、蛙をふびんに思って綱を張ったそうです』と言うのを聞き、宮の思いを殊勝なことと思うと同時に、後徳大寺の大臣の御殿の綱も何か深い思慮があったのではないかと思ったそうです。
【徒然草第十段】
徒然草はこのようなくだけた話に満ち々々ていて学校で習ったのとは随分違います。
それにしても西行は早合点だったようです。西行ほどの聖でも人間的な失敗もあるのですね。
桜の季節ですから西行の桜の歌を一首載せて『早合点西行さん』に提灯を持っておきましょう。
願わくば花の下にて春死なんその如月の望月のころ
今日の話しは昨日の続き今日の続きはまた明日
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