当時はまだ荒唐無稽と思われていた治療法を、私は重大な決意のもとにおこなっていました。

蛍の群れ飛ぶ神代(じんだい)の小川
この治療法は完全な自己管理のもとに行われるもので、全て私の創意の求められる治療法でした。
ガンに対する基本的な考えのひとつは、まず体を冷やさない事だと考えました。体を暖める最も良い方法は運動をすることですが、私は自転車が一番良い方法だと思いました。
日本国中どこでも夏休みの頃になると、真っ黒に日焼けした学生たちが、自転車でツーリングをしている姿が見られます。

私は彼らの乗っているツーリングバイク、「ランドナー」を買ってまずは近場をライドしました。しかし例えば大川の土手などにある自転車専用道路などはワイルドさに欠けて、もうひとつ面白味がありません。

神代から角館へ、一直線5キロメートル
左にわらび座が見える
秋田で私向きの素晴らしい道を見つけました。神代から角館へ一直線の道でほとんど高低差もなく、普通の二車線ですが、角館の出口の場所がちょっと不便な場所なので、他の二本の国道、県道とくらべてあまり使われません。カーブのない一直線5キロメートルで、道の左右は水田や畑になっていて、きわめて爽快な気持ちになります。

左右に開けた見通しの良い直線道路を、大気の中で疾走するのは何と気持ちのいいことでしょう。時々襲う立ち眩みの白い闇は、確かに今私が生きていることを保証してくれているようでした。生の豊穣さの中で私は自分の「ガン」を忘れていることができました。
今日の話は昨日の続き今日の続きはまた明日
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