祭禮の幟り立てられ夏祭り近きを知るも霧雨の中
昨日までの霧雨晴れし青空に神輿担ぐ子の掛け声響く
半纏をまとひし子等は足早に賽銭箱を揺すり過ぎ行く
祭禮の幟はためき集う子等の声弾け合ふ祭り広場に
町内に配布されたる抽選券祭り広場に友と連れだつ
祈り込めハンドル廻す抽選会豪華賞品に意欲そそらる
顔馴染め並ぶ祭りの抽選会今年こそはの期待外るる
懐かしき顔と出会ふや抽選 会互に老を励まし合ひて
久びさに窓開け放つ心地よき部屋うち自在に風の通れる
待ちわびし真夏日となり糊付けの洗濯物の白さ目に沁む
祭禮の幟り立てられ夏祭り近きを知るも霧雨の中
昨日までの霧雨晴れし青空に神輿担ぐ子の掛け声響く
半纏をまとひし子等は足早に賽銭箱を揺すり過ぎ行く
祭禮の幟はためき集う子等の声弾け合ふ祭り広場に
町内に配布されたる抽選券祭り広場に友と連れだつ
祈り込めハンドル廻す抽選会豪華賞品に意欲そそらる
顔馴染め並ぶ祭りの抽選会今年こそはの期待外るる
懐かしき顔と出会ふや抽選 会互に老を励まし合ひて
久びさに窓開け放つ心地よき部屋うち自在に風の通れる
待ちわびし真夏日となり糊付けの洗濯物の白さ目に沁む
麗しき牡丹の花は石庭にその気高さよ貴婦人のごと
石庭に色さまざまのつつじ咲く塗り替へしたる壁色に映え
枝豆はビールの友と妻は植え食べる日は何時指折りてみつ
待ち待ちし紫陽花咲きぬ色を違へ夏の季節が始まりゆきぬ
窓ごしに名も無き花が咲き居りて心癒さるディーのひと時
紋別の山路はるかな修道院聖母の祈り鐘の音さやか
感謝込め妻誕生日に贈 りたり三本立ての胡蝶蘭の鉢
中の島湖に横たひ湖畔には並ぶホテルよ洞爺賑はふ
金を投げ又イタリヤへと願ひつつ豊かなる水トレビの泉
神妙に私は無実と笑ひつつ真実を口に出す人のゐて
娘の墓に何持ちゆくか試案する蓮華の紅き蝋燭を求む
函館へカーナビ携帯頼りつつ高速路ゆく三時間程
義父の墓に同居する娘をよろしくと酒を供へて手を合はせたり
待ちゆきし蓮華の蝋を喜ぶや風吹く中を帰るまで灯る
墓の前にうからと語る一時間帰るの声に蝋の灯は消ゆ
「泣かないで」歌にはあるも娘の墓前姿はなくも愛しさの増す
墓に向き「もう来れぬかもごめんね」と娘の視線思ひ帰路につきたり
息と孫は夜景を見ると出でゆくも我々は早々床に入りぬ
啄木亭友等と泊りし五年前再びの我身同じにあらず
ワゴン車の乗り下り一日支へらる身のここかしこ痛み声あぐ
SLの汽笛なつかし時を忘れ幼な気分で友と旅する
それぞれの思ひ抱へて語り合う行く手に望む羊蹄山を
山ほどに積もる話を携へて食も進めり口も忙しく
読みかけのページをめくる時電車は我の個室となりぬ
何事もうまくいくとは思へずに寝返り重ね夜は更け行く
雨にさへ重みがあると思ふ日よ迷へる心共に流せり
離れ住む息子を朝夕に思ひけり好物の柿荷にして送る
いてふの葉数へ集めしあの頃の恩師の姿今も忘れず
つまずきて立ち止まる時見ゆる物そこにありたる気付きの光
銀杏を酒の肴に注文すぎゅっと染み込む胃袋の中
教室の黒板の角に記入される卒業までのカウントダウン
「ありがとう」短くなったセーラー服のほつれを直しそっと囁く
朝早く一人佇む図書館でいつもと違う本をさがして
舞ひ降りる雪をながめて先生が授業忘れて思い出語る
空が近く感じられると七階の広い窓からじっと眺める
渾身の力を込めてサーブする友人たちの掛け声バックに
跳ねかえるボールの音が声援と一緒にひびく体育館に
放課後に先生交えた座談会楽しい時はあっという間に
バスケ部が本気で挑む先生との試合を私は上から眺める
土曜日の静かな学校私だけの足音ひびく何となく好き
病む姉の終の近しと電話あり五日程前会ひ語りしに
「今着くよ待って待って」と胸に叫び子と高速路車走らせ
耳元で声を限りに叫びしも返るもなくて逝きし姉はも
温もりのづか残れる姉に添ひ半月照らす家路に向かふ
送り人は浄土への旅整へぬ姉の口元語りたげなる
浄土への旅の晴着は薄桃色左合はせに杖も持たせて
はらからは三人逝きたり生き残る獨りの我は卆寿を迎ふ
打ち寄する波音聞きつつ走りゆくイコロの森へ師と歌友と
間を置かず自在に跳ねる水すまし羨しく見つむ杖を手にして
篠懸けの繁る葉の間を漏るる灯は虫鳴く庭を淡く照らせり
歴史ある町に似合はず我を迎ふ近代的な金沢の駅
金沢の遠き昔を思はせて東茶屋街紅殻格子
石畳続く街並雅とも散策楽し東茶屋街
金沢に古都の情緒を感じつつ茶房に入りて抹茶たのしむ
金箔に心ひかれて手にとりぬ工芸品にいにしへ思ふ
今少し居たきと思ふ茶屋街に日常忘れ時の過ぎゆく
城下町の風情漂ふ路地を来て和服の人と会ひて見とるる
土産にと手にとる小物鮮やかに加賀友禅は心なごます
お土産の和菓子選びに目移りし時の過ぎゆく金沢の町
暑き日に訪ひし金沢又来たき桜咲く頃紅葉の頃を
早朝に深川に着く朝露の山麓抜けゆく快き景
清々しき空気の中にわが立ちて幼き頃の古里偲ぶ
庭園を二年振りにて散策す赤白の萩華やぎの増し
遠方の客と同室打ち解けて家族と同じに語る親しさ
記念樹は桜木百本企画せり鍬入れ三本記念に納む
祝賀会ブラザーホテルとバス移動イルム太鼓に景気幕開け
豪華なるフランス料理味はふも気取るマナーに囁きもあり
車窓より彩る野山眺め入る続く刈り田に夕日きらめく
澄み渡る紅葉も冴えてよき季節秋冷迎ふに守る我が身を
報恩講若き人等の参詣増し常連我等の喜びとする
わが夢に出でくる山は何処ならむ夢の夢かや花の咲き満つ
去るものは追はずの主義も過ぎゆきはただに楽しく美しくあり
命ささぐとかつての我は特攻隊六十余年を戦友しのびつつ
一つ二つ病出でしもこの日頃老の常とて日々を楽しむ
気にかかる一つ二つの出来ごとも日々の流れに任せむとする
特攻の命令うけて恐れざる死にてはあれど今は恐るる
戦友は折に便りを今に寄越す我の知らざることも覚えて
さはやかに過ごさむものと目覚むるも雨の連日心塞がる
歌詠みつつ交はる友との半世紀同じ病にかかる不思議さ
衰えしと言ふも久しき友の声健やかに聞く電話のゆゑか
里ぐるみに祝ふや人ら集ひくる湯宿の成りて十五年経るを
十五年の創立祝ぐと集ひたる湯宿に馴染みの笑顔あふれて
湯の宿の創立祝ぐと弾くピアノ蟠渓の里渡る夕べを
湯の宿の創立祝ぎていつとなく一つ心に歌と響けり
花や紅葉歳月を経し十五年染みの湯宿流れの辺り
創立を祝ぎしは夏の短き夜今を紅葉の中に湯浴みす
何れの季来たりて愉し蟠渓の川辺の湯宿に世俗を忘る
湯に浸りその身を滌ぎ聞こえてくる流れの音に心をそそぐ
浴室に背丈ほどなるバナナの木又来る日迄如何に伸びゐる
十五年の寿ぎ踏まへ湯の宿は新しき年今を迎えむ