ある日、出勤したら机の上に封筒が乗っていました。
中身は何かと思ったら木片が出て来ました。
正直、何の木片か分かりません。
右へ左へ引っくり返して、ようやく分かりました。
10年くらい前に入社、2年くらいで退職した社員が、名前を手書きする代わりに使っていたゴム印のようです。
私の職場では、退社した人が使っていた印鑑も保管してあります。
もしも同じ苗字の人が入社した場合、新たに購入しなくて済むからです。
なので、誰か入社するたび、
「〇〇って印鑑、ある?」
と担当者が探しに来ます。
私にとっては全くもって不要な印鑑なので、
「担当者のところで管理したらどうですか?
いちいちここへ探しに来るより便利だと思いますけど」
と一度進言したのですが、主任から、
「ぐちゃぐちゃになっちゃうから、あなたが持ってて?」
と言われてしまいました。
だからと言って、なぜ私が管理しなければいけないのでしょう?
不要な印鑑が出るたび私が整理しないといけないし、担当者がぐちゃぐちゃにしたって、それは担当者の自業自得であって、私の仕事を増やさないでほしい、というのが正直なところです。
最近ではあまりに数が増えすぎて、探すのが大変になってきたので、
お菓子の空き箱に、ある程度の仕切りを作り、探しやすいようにまとめました。
これを作るだけでも手間なので、本当に、どうして関係ない私がこんなことしてまで保管しなければならないのか納得できません。
今回、机の上に置いてあったゴム印も、
「これも保管しておいて」
という意味なのでしょう。
だとしても、今回のはフルネームのゴム印です。
鈴木さんとか田中さんとか、ありふれた苗字の印鑑ならば、出番があるかもしれませんが、同姓同名の社員が入社する確率ってどれくらいなのでしょうね?
恐らく、このゴム印が再登場する可能性はゼロだと思います。
でも保管しろというのなら、とりあえずこの箱に入れておくか。
ということで保管して、自宅に帰ってから気づきました。
あれ? ゴム印だと思ったけど、よく考えたらゴムの印鑑部分がなかったわ!
つまり、かつて在籍したことのある社員の、名前が書いてあるただの木片でした。
保管しておく意味はありませんよね。
なので捨ててしまいましたが、つくづく、
「何も考えずに押し付けられてるだけ」
みたいな気がして、いい気はしないものです。