私は将棋に興味がないけど、だんなは興味があるので、藤井九段(でいいのかな?)が五冠達成するかどうかにも、当然興味があるようだった。

 

 夕方、テレビの速報で「五冠達成」とテロップが出たので、

「五冠達成だってよ」

 と教えてあげたら、

「おー、もし今日勝ったとしても、明日からまた3回続けて勝たないかんかったで、良かったんじゃねぇ?」

 と、言った。

 

 ん?

 五冠達成したのに、

「もし今日勝ったとしたら?」

 今日、勝ったから五冠なんだよね?

「明日からまた3回勝たなきゃ?」

 五冠達成したんだから、もう明日からの対局は必要ないよね?

 

 何を言ってんだ、この人は。

 と思ったので↑のことを聞いたら、

「これだから素人は」

 とでも言いたげな感じで、

 

「王将戦ってのは、七番勝負だから、四回勝たないかんのだわ」

 から説明が始まった。

 

 悪いけど、将棋には興味ないけど「ヒカルの碁」はめっちゃ好きだし、タイトル戦の仕組みも分からんほど馬鹿じゃないんですけど!?

 

「いや、そんなことは分かってますー。

 なんで、今日勝って五冠達成したのに、もし今日勝ったとしたらとか、明日から3回続けて勝たなきゃとかって言葉が出て来るのか、それを聞いてるんですけど」

 って言ったら、また「これは七番勝負だから」って始まるんだけどさ。

 

「藤井さんはもう、今日勝って五冠達成したんだよね?」

 ってことを、私は何度も何度も繰り返し確認した。

 

 それに対しだんなは、

「そうそう。だから、今日勝ったとしても、あと3回勝たないと」

 って始まる。

 

 だから、今日勝って五冠達成してるのに、もう決着はついてるのに。

 どうして今日勝ってたらとか、明日からの対局のことが出て来るのか、それはおかしいでしょって言ってるのに、

「なんでこんな簡単なことが理解できないのか」

 と、「理解できない私が悪い」かのように言ってくる。

 

 

 

 何回目かで、はっと気づいて、

「もしかしてあんた、相手の渡辺さんのこと言ってる?」

 って聞いたら、

「だから最初から言っとるがや。今日勝ったとしてもまだ1勝3敗だから、明日から3回続けて勝たんといかんで、まあ今日負けといて良かったんじゃないかな、って」

 

 

 ここで私、どっかーん爆弾

 

 

「アンタはさぁ、いつも言ってるけど、肝心な言葉が足りないんだよ!

 私は何度も何度も何度も、藤井さんは五冠達成したんでしょって、藤井さんの話をしてるんだよねって、確認したよね?

 なのにアンタはそうそうって言うだけで、だったらアンタも藤井さんの話をしてるんだと思うじゃんか!

 それでよくも私に理解力がないみたいに言えるよねっムキー

 

 って私が言っても、だんなは私が理解できてないみたいに言う。

 

「私が、藤井さんが五冠達成したんだよね? って言った後に、アンタがそうそうじゃなく、渡辺さんが今日勝ってたらって、たった一言渡辺さんがって言ってりゃ、何の問題もなく理解できるんだよ!

 逆に、1度も渡辺さんの名前が出てないのに、この話の流れで、どうやったらアンタは渡辺さんの話をしてるって分かるのか教えてほしいくらいだわ!!

 いつもいつもいつも言うけど、アンタは自分の言ってることだから、渡辺さんの名前を出さなくても渡辺さんの話をしてるって分かってるけど、他の人には分からないんだよ、俺は渡辺さんの話をしてるんだって言ってくれないとさ!!」

 

 ここのところが本当に何度言っても分からないみたいで、会社の人のことも、

「若いヤツが本当に俺の言うことを理解できんでいかんわ」

 って言うけど、それは若い人の責任ではないと私は思うぞ。