獣医師として正直に書くと、腎臓病は「獣医泣かせ」の病気です。
その最大の理由は、腎臓病に有効な薬があまりないことです。
腎臓病の治療は様々な要因に制限されますが、一般に以下の治療が行われています。『動物病院通販
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1 .水分摂取量を増やす
猫の腎臓病では尿濃縮能が低下しますから、脱水から猫を守るために、できるだけ水分摂取量を増やします。
具体的には、水の容器は大きなものにする、複数箇所に水を用意する、水が空にならないように注意するなどの対策を講じると良いでしょう。
2.食事療法
BUNやCreが高い場合、蛋白を制限した食事(腎臓病用療法食)を考慮します。
この種の食事をスタートしたら、蛋白を高濃度に含む食材(肉や魚)はトッピングすべきでありません。
血清リン濃度が高い場合には、できるだけリン含有量が制限されている食事を選びます。
食事を変更しても、思い通りにリンが低下しない場合、リン吸着剤という薬を追加することがあります。『超音波診断装置
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3.高血圧の管理
高血圧は腎臓病を悪化させます。高血圧が発見されたら、降圧薬という血圧を下げる薬を検討します。
4.膀胱炎の治療
膀胱炎も腎臓病を悪化させます。定期的に尿検査を受けるなどして、膀胱炎にかかっていないかどうかを確認しましょう。
膀胱炎にかかると、頻尿になったり、血尿がみられることがあります。
このため、日頃の尿の回数や尿の色を気にするようにしましょう。
5.レニン・アンジオテンシン系抑制薬
高血圧や蛋白尿が合併した腎臓病では、この薬が有効です。
但し、猫が脱水していたり低血圧だったりすると、副作用(腎機能の低下)が出やすくなりますので、開始・中止は獣医師の指示に従って下さい。
6.皮下補液(皮下点滴)
飲むだけでは十分な水分を摂取できずに脱水する場合、背中に注射をして、水分を補給します。
注射する量や間隔はかかりつけの先生に判断して頂きましょう。
7.その他
貧血には輸血、あるいはエリスロポエチンという造血ホルモンを用います。最近の研究によると、鉄を含む薬(鉄剤)の併用が有効であることが判っています。
獣医学の世界でも、少しずつではありますが再生医療の研究が進んでいます。近い将来、猫の腎臓病に対する再生医療が、全ての問題を解決してくれる、と私は信じています。
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