台風が去ってからすっかり寒くなりました。
寒い日には昔大学の体育館で寒さにこらえながら寒稽古をした思い出などが蘇ってきます。
しかしこの程度の寒さではなかったですが(自分は雪国出身のため)
幼少期、友達から「ピースメーカー」という新撰組の漫画と「るろうに剣心」借りて読んですっかりはまってしまいました。そしてこういった世界観いいなあと思っていた矢先に「ワンピース」の連載が始まりルフィの最初の仲間「剣豪ロロノアゾロ」が登場したことにより自分の思いに拍車がかかり親に頼み込んで剣道を始めました。
兄は既にサッカーをやっていましたがサッカーもなかなかお金がかかるもので、剣道もまたお金がかかるんです。最初に揃えるものは「防具一式/面・篭手・銅」と道着、竹刀二本、竹刀袋、初期費用だけでも安くしてもらって15万円ほどだったと思います。
なぜ剣道をすることを許してもらえたのか?それは自分の親が「兄弟で同じようにお金をかけて平等に育てたい」という方針でしたので自分も兄と同じようにお金がかかることを許されたのでした。
しかしそのツケが回ってきたのか笑、金がもったいないから学校は終始国公立を貫いて欲しいと言われ約束は守りましたが…。
剣道をはじめてみると、なかなかきついものでやはり女である自分が男の世界に飛び込んだことを後悔しました。
正直今の時代には絶滅したかもしれませんが昭和を凝縮したような師範がゴロゴロいたので吹っ飛ばされて壁に叩きつけられたり倒されて押さえつけられて「たってみろ足掻いてみろ」と罵声を浴びせられたりすごかったです。
ある日自分が相手に対して篭手を先制し一本とったのですが、師範が言うのは「有効牙突ではあるがもうすぐお前はやられる」というのです。
※篭手…剣道では左手の手の甲付近
※有効牙突…竹刀の切っ先から一定の長さに「面/篭手/胴」が当たった時のみ「一本」とみなされる(柔道で言う技ありのようなもの)
思春期だった自分は「は?」と思いましたが話を聞くとこうだというのです。
「お前の今の一撃は肉を切っているが骨を断ててない。骨を断ったとしても片腕なくなっても相手はもう片腕で殺しに来る」
…平成の時代に侍ごっこですか。
そう当時は思ったものですが、確かにこれが昔の「剣術」だった頃には自分は殺されているかもしれません。
「包丁でもカッターでも当てただけでは「切れる」かもしれないが「断つ」ことはできない。つまりのところ、打撃を与える際に少し両手にひねりを入れると殺しに行く勢いで相手を制することができる」
と言われたのです。物騒な話だろと思うけど確かに物理的には理にかなってます。
みなさんの中には剣道と剣術の違いが一体何なのか?と謎に思っている方もいるかと思います。江戸時代までは剣術はまさに人を殺すための方術でしたが、大政奉還がなされ平和な時代になり廃刀令が施行され剣術が必要なくなった時代がありました。そんなとき「剣術」は「剣道」に変わり生き続け人間形成を担うものとして生まれ変わりました。
一級までは実技のみですが、有段者になるための段位試験では「技術/日本剣道型(木刀)/学術」の三種をすべて段階的に合格しないといけないのですが、学術で必ず出る問題があります。
――剣道の理念を答えよ
「剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道である」が答えです。
つまりのところ、剣道とは練習を重ねて紆余曲折し自分の心を育てるのが目的である、ということです。
自分もなかなかきつい人生を送ってきましたが、剣道をやっていて結構強くなったなと思うことは多々あります。
結局剣道は最終的に県立武道館に所属し大会などにも出てましたが仕事が忙しく、練習開始に間に合わないことが多発し社会人一年目でやめてしまいしたがいい思い出です。
さて、少し話は変わって自分とはあまり縁が無いレイヤーさんの話をしてみようかと思います。
TLによくレイヤーさんの写真が流れてくるのですが、「ここをこうしたらもっといい写真になるかも!」と思っている部分がありコスプレ知識はないですがちょっとお話をさせてください笑
まず、昔の日本は「右主義」というくらい利き腕右でしょ主義です。きものの合わせ方が左が上に来るのも「右利きの人が胸に入れた懐紙などを取りやすいため」という右主義理論です。
なので抜刀する際は腰にある刀を
①少し左手でこし上に持ち上げる
②抜刀直前につばを左手の親指でぐっと押し、これを「こいくちを切る」といいます
③右手で抜刀するが刃の向きは切れる方が必ず地面に向くようにする。必ず右足を一歩前へ踏み込み同時に抜刀
④刀の持ち方は左手が柄の最下部、右手が鍔に触れるくらい上
>>この持ち方が一番力が入り、相手とつばぜりになったさいに圧されずに耐えれます
もし抜刀する際に左で刀を抜くのに左足を踏み込んでいると抜く際に自分の刀で自分の左足を切ってスーパー自損事故()してしまうので踏み込みは必ず右足です。
足を揃えて刀を抜いた状態で立つということはまずありえないです。なぜなら「刀を抜いたとき=敵がいるとき」なので、必ず足は開いた状態で.1秒の攻撃に備えていつでも動けるように足を開いて準備しているので。
―ー肉を斬って骨も断つ
その思いを意識してカメラのレンズを睨んでみると、きっと本気の度合いがうかがえるいい写真が撮れるかもしれません。
ついでに刀の切先(鞘に入っていてもなくても)を地面に付ける、さす、杖のようにすることは神への冒涜なのでめっちゃくちゃ師範に怒られました。そんな怒る?ってくらいに。
神とは何か?じつはどの道場にも神棚があるのですが剣道は神に捧げる神事に近いとうことでしょう。流鏑馬とかも武芸ですが昔から武芸/武道は神に捧げるものでもありましたから。
なので剣道の道場に入る際は一礼、帰るときも一礼、相手と戦って勝っても一礼、負けても一礼しないとダメです。
長くなりましたが、ちょっと知るとタメになるそんな刀/剣術のおはなしでした。
2022/10/06