私には3つ下の妹がいる。
私が東京の大学へ通うと決めると、妹も東京の高校へ行くと言い出した。
両親は仕事もあるので、2年前に2人で上京してきた。
2人とも学生だし、経済的に余裕があるとは言えないので、小さいアパートで一緒に住んでいる。
今日は久しぶりに2人でゆっくりできる日。
生活するためだから仕方ないけど、バイトが忙しくてなかなか話せていなかった。
理佐 「今日何したい?」
美愉 「んー、なんでもいい」
30分くらい前の会話。「なんでもいい」。言うと思った(笑)
美愉のなんでもいい、はどうでもいいってことじゃなくて、「理佐が決めていいよ」っていう優しさがこもってる。たぶんね(笑)
美愉が見たいかはわからないけど、美愉の優しさに甘えて私が見たかった映画をソファーに座って見始めた。
美愉が小さいときに我が家にきたこのソファー。私たちしか使ってなかったので、実家から東京のアパートにもってきた。ちょっと邪魔だけどね(笑)
映画を見始めて1時間くらい経った。ストーリーは山場で良いところなんだけど、集中力のない私は少し時間が気になってくる。
ふと隣を見ると、美愉もまばたきがゆっくりになっている。
理佐 「なんか違うことする?」
美愉 「んーん。大丈夫。」
なんか...普段もそんなに明るい子ではないけど、今日は元気ない気がする。声が暗い。不機嫌というより、ぐったりしているように見える。
再生したままだった映画はクライマックスを迎えているのに、となりが気になって内容が入ってこない。
美愉 「お姉ちゃん...」
理佐 「ん?」
2人だけのときにお姉ちゃんと呼ばれたのはたぶん初めてだ。家では理佐って呼んでるのに、
理佐 「どうしたの?」
美愉 「.....」
何も言わないで私の後ろに座ってくると、腰に小さい手がまわってきた。
美愉 「ケホッ ケホッ」
なんか...あつい
理佐 「...しんどいの?」
美愉がビクッってなった動きを背中で感じた。図星か...(笑)
美愉 「...大丈夫。」
まぁ大丈夫じゃないのはわかってる。
腰にまわってる手には完全に力が入ってない。背中から伝わってくる体温もかなりあつい。
理佐 「この辺に古いほうの体温計なかったっけ?」
一人言のつもりで呟くと美愉が指をさして教えてくれた。
ピピピッ
音が鳴るまでの間、お互い何も話さなかった。
理佐 「見せて?」
あったかくなった体温計を受け取る。
39.3℃...予想よりかなり高くて驚いた。
理佐 「今日...日曜だよね」
美愉 「あいてないね」
理佐 「探す。待ってて」
あ、病院の話ね。
急患センターくらいしかないよね、遠いなぁ
美愉 「いいよ明日で」
理佐 「でもしんどいでしょ」
美愉 「病院行ったって変わんないよ」
それもそうか。
理佐 「とりあえず家にある薬飲んで寝よ?」
美愉 「ん」
今日は素直だ。
必要なものはだいたい家にあったので、それを美愉の部屋に持ち込み、美愉を寝させた。
とくにすることもしたいこともなかったので、ベッドの横に座る。
美愉 「もう行っていいよ」
ぶっきらぼうな言い方だけど、近くにいたら伝染るよって言いたいんだと思う。都合のいい解釈だけどね(笑)
理佐 「インフルって空気感染しないんだって」
美愉 「そうなの?」
理佐 「わかんない(笑)」
美愉 「なにそれ(笑)」
笑うことはできるみたいで少しほっとした。
美愉 「でも普通の風邪かもよ?」
理佐 「クラスでインフル流行ってるって言ってたじゃん?」
美愉 「うん。7人休んでた」
昨日、隣の席の子もインフルだったーって言ってた。
理佐 「まぁ、インフルでも風邪でも別に伝染ってもいいよ」
美愉 「私が看病してあげる」
理佐 「美愉の料理食べれるー(笑)」
美愉は料理が上手い。私よりかなり上手だと思うけど、お姉ちゃんの意地もあるので、普段は私がご飯を作っている。
美愉 「今度一緒に作ろ?」
理佐 「うん!あ、お粥作ってくる」
美愉 「やった」
理佐 「美愉が作ったほうがおいしいかもだけど、」
美愉 「私もそう思う(笑)」
理佐 「ちょっと(笑)」
美愉 「(笑)でも理佐の料理好きだよ」
理佐 「ありがとー(笑)じゃ、作ってくる」
美愉 「早くしてね?」
理佐 「はいはい(笑)」
「早くしてね」って。寂しいのかな、可愛い(笑)なんて思いながらご飯を準備した。
終わり