「後輩が出来るね、紫音ちゃん。」


そう言って跳ねるちぃがかわいくて、


本当は今にも抱きしめたい。


「そうだね。」


あなたは言葉に出来ないほど愛しいひとだよ…


「どうやって挨拶返せばいいかな?」


あどけない無邪気な笑顔は


日を増すごとに、少しだけ、ほんの少しだけ、


大人びているように感じられる。


最近ちぃは彼氏とうまくいっていない。


彼氏がちぃに冷めているようなのだ。


そんな現実は俺にしてみれば、本当に腹立たしい事実なのだ。


きっと彼氏よりずっと大きく強く深く愛しているのに、


どんなに付き合いたくても抱きしめたくても、


叶わない俺がいるというのに…


本当は殴りたい。


ちぃに悲しい顔をさせる彼氏を殴りたい。


でもちぃは耐えている。


どうにかまだ二人を+の方向に導こうと…


そこに俺が入って邪魔をするのは、親友がするべきことじゃない。


「月曜日にジャンボパフェ食べに行こう!」


相変わらず、遊ぶことばかり。


明日はテニスの大会だというのに、ちぃは全く大会のことなんかどーでもいいらしい。l


そんなとこがまたすきで愛しくて、抱きしめたい。


…明日またちぃに会ったら、きっとまた愛してしまう。

「明日駅まで一緒にいこっか」


そんな弾んだ声は聞きたくない。


そんな笑顔想像させないで。


「そうだね。」

「うん。明日また電話するよ。」


ちぃが幸せそうに話す。


「雨が降らないといいね。」


思ってもないような言葉。

雨が降ればいい。

もうデートなんてできないくらいの。

大雨になればいい。



「明日ね」


ちぃ。


大好きだ。


今夜は眠れそうもない。



ちぃは笑ってたんだ


「彼氏と遊ぶんだ」って。



「一緒に3人であそぼ」って


笑いかけたんだ。



必死につくった笑顔で


「ごめん、その日は用事あるかな」って


いってしまったんだ。



残念そうに


「ちゃんと紫音チャンを紹介したいのに」


って言ったから


俺は


ちぃがかわいくて切なくて愛しくて


「やっぱ一緒にあそぼっか」って


言ってしまった。




「ほんと?でもいいの?」


うなずくことしかできなくて


でも


ちぃが笑ってくれるなら


いくらでも傷ついていいって


本当にそう思っていたんだよ。


明日。


俺はどんな顔でちぃの彼氏と遊ぶだろう。