あの時、ぐちゃって音がした
感覚もあった

胸の中で何かがつぶれたのだ
実際に何かがつぶれたわけではない
でも、痛みは感じている

この痛みに処方箋は無い
治せる名医もいない
忘却の彼方へ消えない限りこの痛みは無くならない

いつだってそうだ
誰かを好きになってもどうすることも出来ずほかの誰かに取られていくのをただ見ているだけ
そうやっていつもつらい思いをしてしまう
だから、なるべく人を好きにならないようにふたをしているのにいつのまにか開いていて足を踏み外し恋に落ちてしまう

あの時、スキャンダラスな状況を目の当たりにしてしまった
僕がパパラッチだったらどれだけ嬉しかったろう
信じていたものは幻想だったんだよと現実は残酷にもその背中を見せる

今はただ、変えられなくなった現実に茫然とすることしかできない

あの子もまた違う痛みを抱えているだろう

お互い嫌な状況があって原因が僕にあるんだったら僕が離れれば良い
僕がいない世界だったらあの子は痛みを感じなくなるはず

だから離れることにする

そうすればこの痛みも離れてくれるだろうから