例によって例の如く過去の感想の下書きです。
今読み返すと我ながら「へー!」です。
では、宜しければ御付き合いくださいませ。


ブラックスワンを観ました…!
観ていて凄まじくエネルギーを使う映画でした。
どこまでが夢で、幻覚で、どこまでが現実なの。
感情移入し過ぎて、途中で具合が悪くなって通して観ることができず、何度も止めながら観ました。
終わってすぐは「ああ…」と呆然としたような状態になりました。
うまく咀嚼出来ないところが沢山あって、何度も観ましたが、まだまだ考え中です。

ダンスに関するもので、ドロドロとしたものを描きつつ、その中で昇華したり表現したりして、成功への道程をゆくのかなというイメージを持っていたのですが、そんなありがちなお話ではありませんでした。(私は王道ありがちも大好きですが)

ナタリーポートマン、マチルダの時のあの強い印象から、一転して、なんとも気の弱そうな…
言いたいことを飲み込んで、自分に嘘をついて、押さえ付けて、でも葛藤もあって。
時折じっと見詰めたり、強い瞳をした時は、ああ、マチルダを演った人だ!と思うのですが、そうでない時の、もどかしいような弱さが本当に印象が違って、素敵だなと思いました。

「一々謝るな、臆病者の悪い癖だ」
が、人の顔色をうかがいまくってしまう私の心にぐっさり来ました。
ニナの悩みや葛藤をあれこれ自分に重ねてしまいながら観ました。

初めのオーディションの後のトイレのシーンで、足元だけのカットで、なんだろうと思っていたのですが、後に繰り返し出て来る嘔吐のシーンがあったのことと、初めから背中の擦り傷があったこと、そして母親の「悪い癖」とあう台詞…。
彼女は大役だからああなった訳ではなく、そもそもが不安定であり、そういう気質のようなものがあったのだなと感じました。
それが、幼い頃から植え付けられたものであるのだろうとも。
ニナの母親、妊娠を後悔はしていないと言いながらも、「過ち」と表現する時点でそれが透けて見えます…。
冒頭の、ニナが夢から醒めてすぐの場面で、
話し掛けてるのに答えない、
ニナを抱き締めていながら、表情がすっと冷めたものに変わる、
といったところに、薄暗いものを感じます。
ニナを愛しているとは思うのですが、消化不良で捨てきれない、燻ったままのものがあるのかなと…
女性として、ダンサーとして、娘に嫉妬している…それなのに夢を託したい…そして監視下に置きたい、支配したい…。
あんな大きなケーキを買ってきてしまうところも、バレリーナの減量の大変さを、知らない訳がないのに。
母親からニナに向けて何度か出てくる「いい子」と「ムリ」が、さらりと言われますが、小さくても確かな棘のような、呪いのような言葉でした。
褒めたりけなしたり、彼女を不安定にさせてしまった原因の深い所に、あの母親がいる気がします。

共依存的なところがありながら、ニナはそれでもそこから自由になりたくて、でもそれが怖くもある、という印象でした。
それは母親からだけではなくて、自分自身の殻というか、繭というか…これではいけないと解っていて、でも外に出るのが怖い。
「もう12歳じゃないのよ!!」
「私の番よ!!」
あの二つの台詞は特に印象深いです。
舞台上で、悪魔に変わっていくニナ。
今迄、傷が出来て、棘や羽が出て来るのを痛みや恐怖として感じていたのに、あのシーンでは恍惚とした表情で、喜びを感じている。
母親の、他人の機嫌をうかがい、言いたいことを飲み込んで、時には自分の気持ちに蓋をして生きてきたのであろうニナは、ああして奥底から湧き上がる想いを口に出すこと、しかも叫ぶことは、きっと怖くもあり、それでいて解放の爽快もあるのではないかと考えています。

繰り返し現れるもう1人の自分。
「中身はからっぽ、なにも無い!なにも!」
のあれは、ニナの苦しみなのかなと。
「貴女のように完璧になりたくて」
と盗みをはたらいてしまったニナ。
そして1度だけ髪を解いて練習にのぞんでいたのは、今度はリリーの真似なのかなと考えています。

リリーが結局、レズビアンなのかバイなのか、それともあれは単にニナの幻覚で、ストレートなのか…夢現の境が曖昧で、読み切れませんでした。
ニナ自身が、バイなのかな…?とも考えましたが、そこもはっきりわからず…

ベスに「完璧」と言い、何故感情を表さないと問われて、「完璧に踊るため」と答えたニナが、最後の最後に「完璧だわ」と言っていて、「完璧」とは、何をもって言っているのかを考えているのですが、まだ指先に掠りもしない感覚でもどかしいです。

そして、このお話の中の色々な人間関係、問題、トラブルなど、本当に、バレエに限らないなと思いました…。


ですって。
最早うろ覚えなんですけど、相当メンタルやられながら観たのは覚えてます。
痛いシーンとかびっくりさせられるのとかが苦手なので、一時停止して呼吸整えてから観るのを過去一繰り返した映画でした。
滅多にない感想ですけど、映画館で観なくて良かった…。
それにしても今だったら違う書き方(表現の選び方)するんだろうなみたいな部分もあり、ほんと色々書き散らかしとくもんですね。
楽しい。