再生可能エネルギー関連株が注目されており、同社について調べてみました。同社は巨額損失の計上等による業績低迷により株価が大きく下落しているところ、今後の回復が期待できることに加え、新エネルギー分野にも注力していることから、中長期的目線で復活・上昇が期待できる銘柄と考えています。

 

1.事業セグメント
事業セグメントは次の4つです。

・LNGププラント建設

・石油精製設備建設

・医薬品施設建設

・環境・新エネルギー分野のインフラ、設備構築

 

2.基礎情報

 

(1)業績

17年3月期からのポイントをまとめました。

 

【17年3月期】

・石油やガスなどの海底資源の生産に必要な海中・海底関連設備建設への投資で、原油価格の低迷により損失を計上。

 

【19年3月期】

・米国ルイジアナ州の大型LNGプロジェクトで約2,000億円損失

・戦略リスク統合本部を設置し受注規律を厳格管理する体制へ。

 

【20年3月期】

三菱商事による700億円の出資及び900億円の融資、加えて三菱UFJによる200億円の融資の実行などで財務基盤を強化。取締役に三菱商事出身者を受け入れ

・遂行中案件の顧客との条件改定による業績向上。

 

(2)株価チャート

 

【3年】

【3ヶ月】

 

(3)20年3月期完成工事高内訳

 

 

(4)実績PER

 

  18年3月期 40.33倍
  20年3月期 5.15倍
  21年3月期 9倍(予想)
 <参考PER>

  日揮 約30倍

 

(5)20年11月20日現在の株価 

 

 243円

 

3.今後の事業計画

 

 

4.環境・新エネ分野の取組み

 

 2030年に向けて事業ポートフォリオにおける再生可能エネルギー・新エネルギーの割合を拡大していく方針です。

 

 

(1)太陽光

 再生可能エネルギーが注目されていますが、千代田化工建設では大規模太陽光発電所の設計・調達・建設を行っており、今後の急拡大が期待できそうです(下の写真は長崎空港隣接の大規模太陽光発電所)。

 

(2)水素関連
C02削減や地球温暖化防止に寄与する水素エネルギーの開発に取り組んでおり、水素を液化し常温で大量に貯蔵・運搬することに成功したようです。水素は再生可能エネルギーを使って作ることができますし、発電時にCO2を排出することもなくクリーンなエネルギーです。

SPERA水素® 千代田の水素サプライチェーン事業|千代田化工建設株式会社 (chiyodacorp.com)

 

 

5.見通し

 

 17年度から19年度にかけて石油やLNGプラント建設で巨額損失を計上するなど、財務基盤が急激に悪化し、株価はここ2年間200円~300円前後で推移しています。

 20年度に入り、三菱商事の支援を受けて財務基盤の強化とリスク管理体制の見直しにより、利益が出せる体質へ改善されつつあり、今が底ではないかと思われます。

 2030年に向けて、事業領域のうち再生可能エネルギー、水素等の新エネルギー分野の比率を現在の23%から最大50%まで上げていく方針が示されているところ、国策である再エネの波に乗ってこの分野の期待値は大きいと考えます。

 2年後の株価は少なくとも現在の3倍である750円(予想EPS50円、PER15倍として750円)を期待できるのではないでしょうか。