2023/09/23


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あたしは幼い頃から母に

父ちゃんは

お彼岸の中日に産まれたと

教えらてきた

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【秋分の日】は祝日で学校が

お休みになり

ダブルで嬉しい日だった

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ちゃあちゃんは朝から

いそいそと

紅生姜入りのお稲荷さんを作り

父ちゃんの

大好物のトンカツを揚げる

そして

夕食には丸清一家総出で

食事が始まる

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食べ盛りの3人の子供達は

あっという間に平らげてしまい

父ちゃんの皿を見つめる

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父ちゃんのトンカツは一際大きく

切り身の数も多かった

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すると父ちゃんは総領娘の

あたしを筆頭に一切れづつ口に

入れてくれる

それを何回か繰り返していると

父ちゃんの

皿にはトンカツが無くなり

ちゃあちゃんは文句を言いながらも

新しいトンカツを揚げてくる

そして皿に盛りながら

父ちゃんは

お彼岸の中日に産まれたんだ

覚えているんだよ毎年

同じ話をする

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漢字も殆ど書けず

平仮名とカタカナ混じりの人だったが

それでも

父の名前と子供達の名前は書いていた

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横浜には【ハマのアメ横】と

呼ばれる商店街が

幾つかある

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あたしがお腹に居る時には

その一つ【大口通り商店街】の

裏手にある

八幡さまの辺りに住んでいて

母は毎日の買い物を

大口通り商店街でしていた

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ある乾物屋のお婆さんは

ズーズー弁が残る母を可愛がり

買い物代金を

ザルに入れたフリをしながら

そのマンマ母に

お金を握らせてくれた人だった

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或る日いつものように

買い物をしていた母は商店街の外れでの

火事に遭遇してしまった

お腹の子を守るために大きな腹を抱え

歩いていたら

乾物屋のお婆さんが手を引いて

家まで送ってくれた

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その日は

父の誕生日お彼岸の中日だった

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そして間なしに…あたしが

産まれた

母は…赤ん坊の身体を隅々まで

点検した

3箇所に痣が出来ていた

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うなじと左目の瞼

そして…お・し・り

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母は終生その事を悔やんでいたが

あたしは

一向に気にせず成長した

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いにしえの言い伝えに

妊婦は火事を見てはいけないと

言われていたそうだ

子を守る為に

腹に手を当てると血液が集中して

痣となるらしい

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嘘か真が分からないけれど

確かに

あたしには痣がある

そして…

お尻の痣は形まで丸っきり

父と同じだった

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父は大喜びだった

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🔷All of you🔷

そぼふる雨が

秋めく気温を連れてきた

ゆっくり走れと

父に

教わった日が懐かしく思える

【お中日】

夕食はトンカツだなと迷わず

決まる日

日々は愛おしく日々は奇跡

今日ある日に《感謝》

一日一笑

♡とうこ♡

秋の風物詩といえば?

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