2022/01/30


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空色は…アジュール

雲色は…あおがね色

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カマイユな配色

微妙に異なる色が織りなす

ハーモニー

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落ち着かせる

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横浜山手の空

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暫く曖昧な空色に見惚れていた

風もなく

あおがね色の雲は

微動だにしなかったが

さすがに首筋から入り込む冷気に

亀のように首をすくめた

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その肩を軽くポンと叩かれ

振り向くと冴えない顔色のマミだった

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あたしは…何も聴かずに

扉を開けた

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マミは…この寒い夕刻に近い昼下がり

軽めのジャケットと

ストッキングにパンプス

あたしは…その脚元が気になり

電気ストーブも点けた

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ママ…ココアちょうだい

珍しく珈琲以外を頼むマミだった

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あたしはハーシーズココアパウダーに

牛乳バターを入れ

勢いよく泡立て器で掻き回す

そして大振りなカフェオレボールに注ぎ

マシュマロを浮かべる

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マミは色気ある唇を形ヨク窄め

熱い湯気を追い払いながら

二口ほど飲むと

ボールをソーサーに置いた

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ママ…娘がね

結婚式の相談に行った日に

先方の両親と揉めたの

そして…ティッシュペーパーを何十枚も

口に入れて大騒ぎしたらしいの

驚いた母親が

「気性が激しすぎて考えさせて欲しい」と

ウチに連れてきたのよ

分かりました…と言う他なくてネ

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娘の嫁ぎ先は中々の名家

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マミは夜の関内で働くシングルマザー

娘を山手の女子校に通わせ大学まで進学させた

そして…一流商社に勤め結婚相手に巡り合った

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当初は先方より可なりの反対に有ったが

やはり…子に勝てる親は居ない

息子に押し切られた

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娘が家に戻り3日ほど経った日

胎児の写真を見せられたの

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と…差し出された一枚のエコー写真

その時あたしは…ざわっとする感覚が走った

なんとも言えない複雑な気分

胸の中央に異物が押し寄せた

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これから…この写真を先方に

見せてこようと思うの

あたしは…そう…とだけ答えた

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後日…マミは嬉しそうに店の扉を開けた

ママ…マイカップで珈琲…と

ご機嫌だった

漸く結婚式の申し込みが終わったわ

やれやれヨ…と

片方の唇の端を持ち上げた

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娘の体調は大丈夫?と聞いた

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うん…流産したわ

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あたしは…サイフォンのロートに噴き上げる

珈琲豆を竹ベラで黙って

かき混ぜていた

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エコー写真には娘の名前が

確かに

ひらがなで記載されていた

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おそらく本当に妊娠している

友達に娘の保険証で産婦人科を受診させ

既成事実を拵えたのだろう

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娘に勝てない親

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禁じ手を使ってまで

名家に嫁がせようとした

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でも…あたしは…それを

罵ることも意見をする事も

しないだろう

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母の哀しい性

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禁じ手

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🔷All of you🔷

寒いわ

温かい飲み物と甘いスイーツで

ほっこりしましょう

日々は愛おしく

日々は奇跡

《感謝》

♡とうこ♡

あっ🤭だいすきなひと

ゆっくりと休日を

愉しんで

明日からfight

お願い

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