2021/08/30

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ランダムな…雲群
ランダムな…空色
ほんのすこし息苦しさが抜けて
深呼吸
ほんのすこし熱気が抜けている
葉月ラス前の朝
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横浜山手の空
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狂った暑さの最中
脅威と猛威コロナ禍の最中
賛否両論あったオリンピックの最中
ひとつの…日本の夏が
幕を閉じた
第103回全国高等学校野球選手権大会
智弁和歌山VS智弁学園
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智弁和歌山21年ぶり3度目
夏の甲子園優勝
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甲子園の期間中…ランチの時間は
テレビから流れる熱い歓声と店内の声援に
包まれる
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地元高が出場していた日には
冷房が効かない程の熱狂と熱気に溢れ
店は甲子園球場と化す
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その日も…ランチのインターバルは無く
暑い空気を入れながら
扉に下げた鈴が鳴った
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お姉ちゃん…ご無沙汰…と
ヒロちゃんが相変わらずの照れ笑いを
浮かべながら入ってきた
ホント…本牧なんか忘れてたんじゃない…と
あたしは…イヤミを言いながらも
ホッとした
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ヒロちゃんは中学時代にイジメの標的にされ
学校をサボっては店に来ていた
ある日…サボリが家にバレ…母親に
オタクの子にしてください…と
怒鳴り込まれた事もあったが…
無事に高校も卒業し広告代理店に就職をした
そして…間なしに同級生と結婚から離婚
二人の子を抱え…シングルパパとして
奮闘中だった
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あら…後ろの綺麗な方と日に焼けた僕は
お初ネ…と
言いながら冷たいオシボリを差し出した
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しかし…カウンター越しに
彼女の顔を見た瞬間
あたしは…心が…ザワっとした
嫌な第六感がよぎる
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ヒロちゃんはBIGアイス珈琲を飲みながら
彼女との出会いを話し始めた
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お姉ちゃん…関内のパブへ広告営業に行ったら
コイツに一目惚れしちゃって…と
照れながら言い…彼女を見る
それで毎日オープンラストして
(口開けから最後まで)口説いたんだ…と
嬉しそうに話す
そして…実は…コイツの此処…と
彼女の…お腹をさすった
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あたしは…何故か横で微笑む彼女の
歪んだ笑顔が気になった…が
そっかあ…幸せになりな…と
ざわつく心を仕舞いながら
何かの足しにして…と
ご祝儀袋を渡した
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そして…ヒロちゃんは四人の子供のパパとなり
時たまBIGアイス珈琲を飲みに来た
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その後…日に焼けた僕は
野球で有名な高校へ進学をする
そして…頭角を現した僕は
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甲子園に出場した
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夏の影も長くなり
秋のコーラスも聴こえ始めた頃
店を遅い夏休みにした
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陽射しは未だ未だ強いが水を撒きながら
窓ガラスを磨いていた
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お姉ちゃん…やすみ?…と
ヒロちゃんの声が聴こえた
振り返ると彼女と二人…立っている
話があるんだ…
いいよ…はいんな…と
ホースを巻き戻しながら扉を開けた
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俺たち離婚するんだ…と
ヒロちゃんが切り出した
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あたしは…驚きもせず
そっ…子供は?…と聞いた
四人共…俺が引き取る…と
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えっ…と
あたしは…始めて驚いた
そして…彼女が
反対したんですけど彼が一歩も引かなくて
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僕も二人の間の子も引き取るの?
ヒロちゃんは…俯きながら
うん…と…言い
お姉ちゃんは他人の俺を
かばってくれたから…と
言った
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店内の冷気を掻き混ぜる
扇風機音だけが鳴り
ひとつのBIGアイス珈琲の氷が
カラン…と…
溶け落ちる音が響いた
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そして…それが合図のように彼女が
口を切った
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あの子は…あなたの子じゃないの
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うん…しっている
それでも…いい…と
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ヒロちゃんは…
言った
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その後…ヒロちゃんは…またまた
子連れ同士の再婚をして
今では六人のパパとなった
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そして…今
関内でパブを経営している
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しのぐんだ
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🔷All of you🔷
狂った葉月ラス前
夏バテ気味の体を
持て余す日々
シャワーの回数が増えるわ
とうこは…ほんのすこし
窓と扉を開けて浴びるの
カラダがヒンヤリして
気持ちヨイわ
おためしあれ
あっ🤭だいすき人
保冷剤で冷やしているかなぁ
《感謝》
♡とうこ♡