2021/03/18


膨よかに

柔らかに

🌸

はにかみ笑顔の

蕾たち

🌸

夕空に愛らしい影

浮かべ

🌸

明日

笑顔

ゆびきりをする

🌸

横浜山手の空

🌸

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Mは再び…あの日の記憶を辿り動きだし

何の迷いも無く捜し続けている

あたしも気を取り直し後を追う

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芝生を撫で捜しながら…ふと

今後の展開を考えてみた

あたしは…今

結婚の二文字が消えている

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H社長とは仕事が絡むビジネス模様

Mとは恋を楽しむオンナ模様

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もし…ホヌが見つかったら

それは…奇跡

運命の恋なのだろうか?

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いたよ

奇跡のホヌが

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Mの確信に満ちた声が響いた

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ホヌは柔らかな芝生に護られ

静かに…ふたりを待っていた

その健気な姿に…あたしは

心が震えた

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Mが…ホヌの意味を話し始めた

ホヌとは海亀

幸せを運ぶ海の守り神なんだ

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あたしは…ホヌを守る芝を丁寧に払い

そっと手の平に乗せる 

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Mは片耳に着けていた

あたしのホヌを外し

一対にする

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そして冷えた…あたしの指を

一本一本

丁寧に折り

ひとつの塊にした

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Mは…その塊を両手でくるみ

唇を寄せて

囁く

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空に輝く星は数えきれないけれど

ふたりの愛は数えられるよ

だから…

とうこ…数えてみようよ

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あたしは…ちいさく頷きながら

傲慢で驕慢な自分が恥ずかしくなった

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信じる心の幸せ

信じる心の尊さ

信じる心の純情

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その…ささやかな重なりが

いくつもの幸せと愛を運ぶことを

今まで知らなかった

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Mは…もう一度

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とうこ…数えてみようよ

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と…言った

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福袋商戦が始まった

案の定…開店前から長蛇の列となった

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あたしは…法被と鉢巻姿になり

お立ち台に上がる

どの店からも景気の良い

声が響く

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売り場の入り口に

一際背の高いH社長の姿が見えた

軽く手を上げ電話のポーズを取る

あたしは…勢いよくオッケーの仕草を

送った

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福袋は一時間で完売した

売り場に戻ると…店長が

S野さん流石だね!5万円福袋

あっという間だ!再販するか?

いや…店長それより

この勢いで売り場を固めましょう…と

あたしは言う

財布の紐が緩んだ所で

もう一踏ん張り緩ませようと

あたしは目論む

売り場のシマにも人だかりがしている

逃す手は無い

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バックヤードから売り場を眺める

Mがシマの中で接客をしている

アシストするか…と思い

お客さまに笑顔を向けながら歩く

すると…イキナリ

あなたが…とうこさん?

と…迫られた

Mは驚きながら強い口調で

よせよ!サキ…と言う

あたしは…浮かべた笑みを

仕舞いながら

バックヤードへ引き返した

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間なしにH社長から

お願いがあると電話が有り退勤後の

約束をした

なんだろう…と思いながらも

それより…サキと呼ばれた女性の

言動の方が気になった

まさか…Mの彼女?

あたしは腕組みをしながら売り場を見る

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暫くするとMが

バックヤードに現れた

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とうこ…ゴメン大学の同級生なんだ

そなんだ

どうでもいいけど

身の始末つけてから

口説いてよ

と…思わず強い口調で

あたしは切り返してしまった

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あいする♡みなさま

とうこは…花粉が落ち着く夕方に

30分ウオーキングをしています

山手本通りもライトアップされ

幻想的な夕闇が訪れています

自粛明けまで

もすこしの辛抱

美しい山手の宵闇に

逢いに来て

《感謝》

♡とうこ♡

🔶997🔶