2020/12/13

そろそろ…と
ヒタヒタ…と
聴こえる足音

さりゆく…季節
むかえる…季節

どちらも愛おしく
こ揺るぎもしない
水面に映える景色に
魅入る夕刻
あなたを…想い
あなたを…浮べ
みなとみらい…戀想華の空
あたしは無粋なチャイムの音に苛立ち
黒ゴムを珈琲カップに落としてしまった
誰だろう?此処は元夫T以外は
誰も招き入れた事が無い
それは慰謝料と称して元夫Tが
購入してくれた事への
礼儀
バブル真っ最中の横浜駅傍…最上階
通勤や生活の利便性を考えた
何より…それ程…高層ビルが建ち並ばない
横浜駅周辺
富士山が見えるのが魅力的な街
元夫Tとは…あたしが丸清に戻り
笠家との…お約束…週一の接見日
山下公園老舗イタリアンの店だった

その日は…おお爺ちゃんに
おねだりshopping
フクゾーさんの襟の広い生成りコート
イタリアンカラーシャツ・タータンチエックスカート
ミハマのカッターシューズ
キタムラバッグetc
ハマトラファッション
満載の買い物をして
ご機嫌だった

あたしは…大好きなカルボナーラを
頬ばり…ついつい食べながら
お喋りをしてしまった
案の定…行儀に厳しい笠家の他人母に
腿を叩かれた
ウキウキしていた…あたしは不意を突かれ
頬ばったパスタをテーブルに
噴き出してしまった
其処へ音も立てずに近寄り
あっという間にダスターでテーブルを
拭いた支配人…それが
元夫Tとの出会いだった

ありがとう…いつまで修行をするつもりかな?
と…おお爺ちゃんが話しかけた
どうやら元夫Tの父親とH大学で
同窓生のようだ
そして元夫Tの父親は学徒出陣をし
海軍大尉まで昇進したと褒めている
しかしながら…元夫Tは
放蕩息子
親が先々を心配して修行に出したようだ

あたしは恥ずかしさで
俯きながら
後は自分でします…ありがとう…と
小さく言うだけで精一杯だった

それでも…ダスターを返す時に
チラッと…彼の横顔を見る
色が浅黒く彫りの深い影ある顔立ち
トーンの低い声
あたしより10歳歳上
大人の魅力たっぷりな人だった

あたしは瞬間的に
ピキッとキタ
この人と 
結婚する…と
あたしは男物の白いワイシャツを
パジャマにしている
洗濯物に男物があると…何気に安心だ…と
元夫Tの提案
着古しで良いのに玄関前にT百貨店
仕立て上がりの襟が高く
袖口にイニシャル入りを数枚…置いてゆく
先日も車の名義書換え印鑑証明
公的手続き等が煩雑ゆえ
もう一度…入籍した
つまり同人物と2度目の結婚

何処までも甘える…あたしがいて
何処までも許す…元夫Tがいる
未だ…あたしは…
あの日の17歳
あたしは…
ワイシャツの
第二ボタンを…閉め
忍び足で扉に近づき
ドアスコープを覗く
Mと… 
目と…
目が…
合った
あいする♡みなさま
とうこは
ビーズ整理整頓
制作へのルーティン
その合間に
いにしえへの回想しています

フィクション
ノンフィクション
混在…惚れた男シリーズ
お楽しみください
♡とうこ♡