2020/12/06

その夜…
あたしは…
流々と流れる水になった
透明な雫が泉のように湧き
掴まらぬ腕や唇を求め
湖に漂う藻のように
岸辺に流されては
引き戻され
刻の流れに…たゆたう
芯の珠が
弾けては…集い
集いては…弾け
とどまることを知らなかった

岸辺に打ち上げられた
あたしは…
夜のしじまに響く
ぽとり
音で目が覚めた
窓を伝う水滴は…
あたしの
歓喜の涙に…なるか
悲哀の涙に…なるか
今は…分からない


シワひとつなかった
ベッドシーツは
しっくりと…あたしの体に馴染み
柔らかになっている
乳房を覆っていた

濡れた窓に視線を泳がせる
滲むヨコハマの港の灯
寝そべる裸身が溶けて
ひとつに
なっていた
流れに…ゆだねよう
なぜか
素直に…そう思えた
しかしながら…朝まで
ご一緒のつもりは
さらさら無かった
それが…あたしの流儀
床に散乱する色とりどりの
レースを拾い集め
エルメスのスカーフに
ワンピースと共に丸め込み
カルティエのブリーフケースに詰めた
素肌に
ミンクのロングコートを羽織り
素足に
オーサキのヒールを履いた
そして…
一瞬ベッドに視線を向け
健やかな寝息を確認する

ドアノブをシッカリと抑えながら
音を立てずに扉を開け
細い隙間から
スルリと抜け出る

ディオールのサングラスを掛け
フロントに軽く会釈をし
ベルボーイが開ける
タクシーに滑り込む
行き先を告げ
流れゆく街の灯を眺めた
そして…
シャワーも浴びず
ソファになだれ込み
ミンクのコートを被った

間なしに閉め忘れたカーテンから
透明度を増した初冬の陽射しが
あたしを直撃した
痛いほど眩しい朝陽に
たじろがずに…挑んだ
人生が動く気配
流れが…変わる
予感を…感じた
ゆっくりと浴槽に浸かり
淹れたての珈琲を味わう
久方ぶりの休日
カップに部屋の照明が映る
美しい
あたしは水面に映る景色が好きだ

そろそろ…乾き始めた
ワンレンの髪が邪魔になる
纏めようと化粧ポーチを探る
長い爪先に何かが絡んだ

Mから手渡された黒ゴム
その時
突然…チャイムが鳴る
あいする♡みなさま
師走…最初の日曜日
秋薔薇咲く
いえ…冬薔薇かしら🌹
みなとの見える丘公園
お散歩します
その前に
元町…幸せのパンケーキ
友と🥞パクパク🥞
クリーム🥞たっぷり
ゆるす♡Sunday
みなさまも♡甘い♡Sunday
とうこが♡ゆるします
^_−☆
♡とうこ♡