2018/08/12
観葉植物の葉影に…彼の後姿が見えた…
肩がスッキリと…水平で…襟足も水平…
肩幅が広く…腕も締まっている…今日は私服…
あたし・は…あの腕に…ぶら下がろう(笑)
立てた白いポロシャツの襟が…カッコいい(笑)
多分…今は…彼の何処を見ても…素敵(笑)
声を掛けようと…右肘を折り…小指を立てよう…
と…思った瞬間…背の高い…彼に隠れていた…
女性の姿を見る…Y銀行の制服を着ている…
彼は…スラックスのポケットに右手を入れ…
年上彼女は…社用封筒を胸に抱いている…
あたし・は…右に半歩ズレて…
ふたりの様子を伺った…まるで…スパイ…
コソコソするのは…嫌いだ…でも…金縛りに
あったように…それ以上…足が動かない…
学校で…10円玉を押さえて…お狐さまを…
呼び出したからかなぁ…後…一歩が踏み出せない…
あたし・は…こんな状態なのに…ふたりは…
楽し気だ…年上彼女が…彼の髪に手を触れた…
限界だ…彼の名前を呼んだ…彼と年上彼女が…
同時に振り向く…彼は…相変わらず…
眩しそうに…あたし・に…微笑み…
左手を挙げた…違うでしょ…ふたりのサインは…
あからさまに…あたし・は…不機嫌な顔をしたが…
かろうじて…左に小首を傾け…ぎこちなく笑った…
それでは…と…急に…年上彼女は…
社用封筒を持ち直し…彼に挨拶をし…彼も…
軽く会釈をした…そして…挑むように…
あたし・を…見ながら…年上彼女は…足早に去った
あたし・には…何も無いの?…今までの人生で
初めて…ぞんざいに扱われた…屈辱だ…
あたし・の…不機嫌な様子を…彼は察して…
新卒社員で父の部下だと…説明してくれた…
それ以上…聞くのは…美しくない…
知らぬが花…他人祖母の声が聞こえた…
そっ…と素っ気なく答え…あたし・は…
平常心を取り戻す…彼は…あたし・の…
肩に手を置き…本日のスケジュールは…
A案・B案…どれにしようか?と…彼は…尋ねた…
あたし・は…右肩に乗せられた…彼の…
左手を払いながら…両方…と…
ぶきらっぼうに…答えた…
年上彼女の…挑む…目付きが瞼に浮かび…
今は…素直になれない…あたし・が…いた…