既に受験生や修習生はご存知かとは思いますが、司法修習生の給与制が今年でとうとう廃止になり、来年(平成22年)からは貸与制に移行することになりました。

改正後の司法修習生の修習資金の貸与等に関する最高裁規則

各弁護士会もさかんに反対声明を出していたようですが、結局このようになってしまいました。

私は、貸与制には反対です。もちろん、2000人の修習生に1年間給与を支払うにはかなりの予算が必要です。しかし、司法修習生になるには未修で3年分、既習で2年分の法科大学院の高額な学費を支払い、大量の書籍を買い、合格するまでの自分(と家族)の生活費を支払わなくてはなりません。そのうえ修習の生活費まで貸与制になっては・・・。法曹資格を得るには修習を受けなければなりませんし、修習中は兼業禁止なので、他に収入を得る手段がないというのに。

法曹になるべき資質を持つ人が、経済的理由のみから諦めざるをえなくなりつつあるとしたら、法科大学院、新司法試験と司法修習って、いったい何なのでしょうか。
先日は、東京の弁護士会が設立した公設事務所の説明会へ出席してきました。先の記事で法テラスはあきらめたと書きましたが、やはり事務所経営のことを心配せず思い切り公益的な活動をやってみたいという気持ちはあり、それならと考えて出席してみたのです。

しかし、やはり甘くはありませんでした。その事務所でも、トレーニングの1年間の後は各地の法テラスまたはひまわり基金による法律事務所への赴任が前提で、しかも赴任地は基本的に事務所に一任が条件、ということでした。

公設事務所の重要な役割のひとつに、そうした各地の公益事務所のスタッフ養成・派遣があることを考えれば、当然ではあります。
やっぱり地方赴任ができない事情がある場合、法テラスや公益事務所で働くことは難しいようです。

仕方ない。それからというもの、ようやくいわゆる一般民事といわれる事務所へあたっているのですが、聞きしに勝る厳しさで、一体どうしたらよいものかと・・・。一般民事でもそれなりに大きなところは既に説明会を終えているところも少なくないですし、小規模のところは「採用の予定なし」と門前払いがほとんど。やっぱり今までのんびりしすぎたかと、だいぶ反省しています。

ただ、アルバイトも今週一杯までしなければならないし、白表紙は大量、日弁連の事前研修の準備もとなると、いったい何を優先すべきなのか、ちょっと途方に暮れてしまいます。

そういえば学生時代の就職活動も、すごく苦手だったなあと思い出します。志望動機といったって、その会社について通り一遍等のことしか知らない自分のペラペラな動機を、さも本当のように話さなければならないことが、すごく苦手だったのです。

でもこのご時勢、厳しい就職事情はどんな業界もきっと同じ。幸い、少なくとも修習中は路頭に迷う心配はないのですから、あせらずがんばりたいと思います。
10月28日に「法テラス」スタッフ弁護士の就職説明会に行って来ました。これまでも合同説明会等のブースでお話を聞いたことはありましたが、単独の説明会は今回が初めてです。

内容は既に知っていた部分も少なくありませんが、今回はより突っ込んだところを知ることができ、参加してよかったと思います。

先日の三会合同説明会のブースで、スタッフ弁護士の方が「家事と刑事をやりたいならスタッフ弁護士は向いている」とお話されました。私が一番やりたいこととまさに合致してたので、自分の中では法テラスへの就職にかなり惹かれていました。
それが、今回の説明会で分ったことには

1.今回の募集では、少なくとも東京、大阪については赴任の予定はない。その他の大都市圏についてもやはり残りのイスは少ない。
2.「関東希望」「近畿希望」ではダメで、少なくとも「関東甲信越」「近畿中部」くらい範囲を広く考える必要がある。
3.そういう事情なので、既婚者であるとか、両親が高齢等の事情がある方は、よく家族と相談の上で申し込んでほしい。

とのことでした。

地方への赴任に関して私の場合一番問題なのは、妻の仕事と人間関係です。妻自身、大学卒業後に出身地を離れて上京して以来、仕事をがんばっています。その成果もあがってきて、築いてきた交友関係もあります。これをいったんご破算にしてまた見知らぬ土地へ行くだけでも相当大変であるうえ、スタッフ弁護士は任期制ですから、いずれ関東へ戻るとなると、またゼロからやりなおしです。

いっぽう私の方は、やりたい仕事は地方でもたくさんありますし、私自身は人間関係に非常に淡白であるうえ、持病のことを考えれば、関東を離れてもそれほど不都合はありません。ただ、私の両親はもうちょうど定年をむかえる歳ですし、長男なので、いずれは関東へ戻りたいと考えています。

司法試験合格した時には「田舎ぐらしもいいな」などと言っていた妻ですが、いざ現実に選択を迫られると、やはり躊躇するようでした。自分の進路に配偶者の事情をどれくらい考慮すべきかは、なかなか難しい問題です。でも、女性にとっての人間関係には男性とはまた違う重要性があることは側で見ていてよくわかりますし、私が本格的に仕事をするようになると、仕事の性格上、家にいる時間は相当短くなってしまうこともあるでしょう。そうするとますます、妻は家で独りきりになってしまいます。

また、私たちの年齢からすれば、そろそろ出産や住居の購入も検討しなければならなくなってきます。そういう点でも、期間限定で地方へ行くことは不安があります。

これらをいろいろ考えた結果、残念ですけれど、法テラスへの応募はあきらめることにしました。ただ、刑事や家事、民事扶助事件は、どうしても法テラスでなければできない、というものでもありませんから、これからまた別の進路を考えたいと思います。

それにしても、裁判官なんかはそれこそ一生転勤なわけですよね。裁判官の配偶者なんて本当に大変と思うのですが、どうされているのでしょうか。