『アナタノキモチ』安田夏菜 文研出版
小学5年のひよりの家には、同じ年のいとこ、ハルくんがいる。ハルくんは5歳のとき、母親に置き去りにされ、母親の両親、ひよりにとって、おじいちゃん、おばあちゃんの家に引き取られ、一緒に暮らしているのだ。ハルくんは、こだわりが強く、決められたとおりに行動できなかったり、ことが進まないと、パニックになり叫んだり、自分を傷つけたりする自閉症。ハルくんは人の気持ちがわからないから、無神経なことをしたり、言ったりする。でも、人の気持ちがわからないのは、ハルくんだけなのかなとひよりは思う。
おじいちゃんは世間の常識に当てはめて、大声で説教じみたことを言い、時に怒鳴る。
おおらかで料理上手なおばあちゃんはハルくんに添い育んでいく。
さまざまな出来事があり、それをひよりとおじいちゃんの視点で交互に書かれていく。
プロローグとエピローグは、ハルくん。
良かれと思ってしたことが、人を傷つける。
アナタノキモチは、なかなかわからない。
誰もがしてしまう、されること。確かに、私にもあったと思う。
そんなことも起こりながら、家族の要のおばあちゃんが骨折して入院したことで、家族は崩壊し、それぞれの気持ちがさらけ出され、衝突する。
そこからの気づき。
何もかもが解決されるわけではないけれど、
すごく希望が持てた。
こうして、物語にしてくれたから、ひとの気持ちのわからなさと、その人の気持ちがよくわかって、痛かったり、ほっとしたりした。
読めてよかったな。子どもたちにも読んでほしい。と思った。