先日、伏見ミリオン座に映画を2本観に行った。


最初は『フジコヘミングの時間』

わたしはフジコさんそのものが好きだ。自分を信じて、自由に、感じたまま生き、心というか魂を込めてピアノを弾く。それが聴く人にびんびん伝わる。

ラストのラ・カンパネラは圧巻。立ち上がって拍手したかった。

生きていく力もらった気がした。


『関心領域』

打って変わって…。

最初は牧歌的に感じられる湖畔で水浴びをする家族風景。徐々に不穏な空気が忍び寄る。その家族はアウシュビッツ強制収容所の所長一家で彼らは収容所に隣接した敷地に家を構えている。その家は広く、庭には妻が丹精込めて育てる花が咲き誇り、プールもあり何人かの家政婦たちもいる。

だが、隣の建物から聞こえてくる叫び声、銃声、立ち上る煙。アウシュビッツ強制収容所の人々や内部は一切映し出されない。聞こえる音と気配。ときに何か象徴するようなハッとする映像。

人は自分の理想の生活を維持するためには、見たくないものは見ないで、考えないで、生きていけるものなのだと突きつける。ここにいる家族だけが特別ではない。わたしたちも隣ではないが、遠く離れた戦火に苦しむ人々をよそに、美味しいもの楽しいことを求めて生きがちだ。

ラストが1番怖かった。収容所に残された物の映像、エンドロールで奏でられる音楽、全て苦悩の叫びに感じられた。


ある人の感想で、体調の良いときに観た方がいいと。


私もそう思う。