　さて、中川有太郎先生が、北辰一刀流とどのくらい関りがあったのかは知らないが、北海道小樽にかつて、小樽玄武館という道場があったようだ。そこで内弟子として修行した方が、戦後東京で、復興しているということを後に知った。

　何か、中川先生と関係があると面白いのだが、もう確認することは出来ないだろう。

　後になって、司馬遼太郎の作品が好きになり、「竜馬がゆく」を読み、竜馬が江戸での剣術修行の辺りで、あの言葉が出てた。

　　　　　　　　　　夫剣者瞬息心気力一致

だ。これは、北辰一刀流の奥義らしい。そうだったのか、この一説を読んだ時は、感動した。

　私は、勿論、先生から

　北辰一刀流の技を習ったことも見たこともない。

　因って、先生が、北辰一刀流の使い手だったのか、ただ尊敬していただけなのかも知らない。

　しかし、先生の北辰一刀流を思う情熱は、並々ならぬものがあったに違いない。その訳は、

　北辰一刀流関連の文献を書写し、その巻末に読後感などを書き、きちんと製本していたからだ。

　さすがに昔の人だ。

　それを、兄が中川先生から頂いたものを、私が譲受け、奇跡的に今も所蔵している。

　その後、お会いする機会が有れば、色々聞きたいことが多かった。

　もう、いい年になったが、初めて竹刀を握ったあの日のことを今でも思い出す。

　昭和の時代、今のようにネットや携帯が普及するなんて夢にも思っていなかった。住居移転の為、先生からご指導から受けた期間は短かったが、この場を借りて御礼を申し上げたい。

　　　　　　　　　中川先生、ありがとうございました。

剣道との出会い２