詩人・作家 神泉 薫 Kaoru Shinsen ~言の華~

詩人・作家 神泉 薫 Kaoru Shinsen ~言の華~

詩人・作家 神泉 薫(しんせん かおる)です。
「ことばを贈る 言葉を届ける コトノハの種まきを」
時代と共に、ことばを耕します。

 

 

 

見上げれば、葉桜。 

すこしずつ季節は移ろい、 

優しく、時に激しく降る雨にも 

日々を数えるまなざしがあるようだ。

 

グレイがかった空。 

駅に向かうその日は、雨が降っていた。 

ゆっくりと歩く私の視界の端に、ひとりの女性が映った。

 

左手に傘、右手に白ねぎ、フードのついた上着の左ポケットにペットボトルの頭がのぞく。 

急いでいるようで、表情は硬く、まっすぐ前を向いている。 

 

人は、右手、左手、両手というものを持ち、

ポケットという 不思議で便利な入れ物を開発した。 

天から降り注ぐものから身を守る頑丈な傘も。 

 

傘と白ねぎとペットボトルの三位一体。 

濡れない、空かない、乾かない。 

これらが、彼女の今日一日を守るのだろう。 

 

さぁ、新しい明日へ向けて。 

がっしりと素手に握られた白ねぎは、まるで剣のように神々しい。 

 

彼女は、キラリと鋭い眼を光らせ、白ねぎを掲げる女神。 

 

先の見えない物価上昇、荒波は続く。 

だが、世界をあきらめるわけにはいかない。

 

揺るぎない生存へ向けて戦いを挑んでいく。

 

 

 


 

 

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遠い日の記憶。 

ひとつのまあるいりんごをむく。 

小さな手のぬくもりを思い出す。 

 

すこしずつ、役割を与えていくこと。 

できることをひとつひとつ覚えて、 

世界を生きること。 

世界を広げること。 

その大切な時間のゆったりとした流れを。

 

分けること 担うこと|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
遠い日の記憶。 ひとつのまあるいりんごをむく。 小さな手のぬくもりを思い出す。 すこしずつ、役割を与えていくこと。 できることをひとつひとつ覚えて、 世界を生きること。 世界を広げること。 その大切な時間のゆったりとした流れを。 おとなになって、できることは増えたが どうしてもできないことがある。 がんばっても、取り組んでも、 お手上げになること。 今朝、ふと、思う。 できないことのひとつは、 できるひとへ、その役割を与えているのだと。 できないことは、その能力が失われていることではなく 他にエネルギーをそそぐものがあるということ。 できること、できないことを 分ける、担い合う

 

 


 

 

 

春夏秋冬。 ひとつの円を描くように、めぐる年月。

今ここに在る自分の心とゆっくりと対話する。

心の定点観察。

 

心の定点観察|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
春夏秋冬。 ひとつの円を描くように、めぐる年月。 一年に一度、訪れる宿がある。 今年もまた、見慣れた景色にほっと息を吐く。 身も心も、ゆるやかに和む。 山を見て、風に吹かれて、温かい湯につかる。 走馬灯のように、ここ一年の景色がよみがえり、 今ここに在る自分の心とゆっくりと対話する。 昨年のことだ。 しんとした緑を見つめていたら、自分がひどく疲れていることに気づいた。 日々、懸命に向かっていたある課題。 見えない場所にあった心の本音。 ふいに日常を離れて気づく、自らの立ち位置。 大きな自然は、ただそこにあるだけで、 ありのままでいることの尊さに気づかせてくれる。 2026年の

 

 


 

 

小さな書斎の本棚から 声が聞こえる。 

 

春、光も風も流れるように動く。 

外へ外へと、身も心も浮き立つ季節だ。 

 

さくら舞い散る夜のこと。 

そっと扉を開けると、声高でなないが、切実な声が聞こえるのである。 

誰もいない書斎の奥から。 

 

そう、立ち並ぶ本たちの背から───。

 

 


 

愛する本をめぐる個人的体験をつづりました。

大学生のころの記憶、秘密めいた本の声、本の旅。

 

 

 

 


 

 
 

 

夜に花ひらく詩のことばを

 

 

桜の花びらと風の匂い。 

きらきらと鮮やかな新しい日々の訪れを感じますね。 

 

新緑が萌える頃、イベントのお知らせです。

2026年5月15日(水)19:00~、駒込平和教会(駒込)にて、 詩人の聲に参加を予定しています。 

 

天童大人プロデュース アートパフォーマンス Projet La Voix des Poètes (詩⼈の聲)は、 自作詩を肉聲で1時間お届けするプロジェクトです。 

 

季節の移ろい、ガタンゴトンと電車の足音を聞きながら、詩のことばへ耳を傾けるひととき。 

 

どうぞご来場くださいませ。 

 

 

☆ご予約は、神泉薫コンタクトフォームより承ります☆

 

 


 


 

 

空の青さ。 海の青さ。 桜のまぶしさ。 

それらはいつも、無償で私たちの瞳に与えられている。 

何も求めず、ただそこにあり、物言わず、静かに生きるものたちを支える。

 

愛は天下の回りもの|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
空の青さ。 海の青さ。 桜のまぶしさ。 それらはいつも、無償で私たちの瞳に与えられている。 何も求めず、ただそこにあり、物言わず、静かに生きるものたちを支える。 世に泳いでいる通貨は、交換価値の高さで人々に求められる。 印刷された紙の束を、狂わんばかりに求める者も多い。 けれど、人が真に欲するものは、目には見えない。 人生における幸せや喜びは、いつも形あるものの背後にあり、決して交換できない。 交わしたことばのぬくもり、触れた手の柔らかさ。 分かち合った日々に、愛はいつも、さやさやと流れている。 愛は、天下のまわりもの。 見上げれば、春。 ~エッセイ集『光の小

 

 


 

 

充ちること。 実ること。 

 どんな瞬間に、わたしたちは、充実を感じるだろうか。 

一人ひとり取り組む、それぞれの晴れやかな時間への感度。

 

充実をめぐる、ひとふさの葡萄|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
充ちること。 実ること。 どんな瞬間に、わたしたちは、充実を感じるだろうか。 一人ひとり取り組む、それぞれの晴れやかな時間への感度。 信念や喜びを感じる仕事が達成される時 自らの内側に満ちるその喜びが他者へも繋がっていくと感じられた時 それは、ひとつの比喩で、もっと多くの個の充実が存在するだろう。 例えるなら、ひとふさの葡萄。 みずみずしい一粒一粒が豊かに連なり、手のひらに乗せれば、 ずっしりと重い。 唇に含めば、重ねた時間の四季がゆるやかにその甘さに満ちるだろう。 一日の終わりに記した、日記の行。 友と交わしたことばの雫。 陽を浴びた鉄棒に残る、小さな手のひらの記憶。 ひ

 

 

 

色づき始めた桜並木を歩く。

遊歩道は、木と空と花を見上げる人で穏やかな賑わいを見せていた。 

100年。

緩やかに時計の針が動いたら 

私は、もうここにはいない。

 

100年|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
色づき始めた桜並木を歩く。 遊歩道は、木と空と花を見上げる人で穏やかな賑わいを見せていた。 地面の下、ふくふくと芽吹く種も、きっとあくびをしている。 100年。 緩やかに時計の針が動いたら 私は、もうここにはいない。 風と交わしたことば 木に寄り添ったまなざし 薄桃色の花々に心奪われたときめきは 今、この瞬間にのみ息づいている。 窓を開け、コーヒーカップを洗い、 スニーカーを履いて街へ出る。 ひとときの夢を誰もが懸命に生きている。 100年。 日々の営みの切れ端は、いつだって色鮮やか。 見知らぬ遠い時間を歩く人よ。 あなたの瞳にも ほら、さくら。

 

 


 

 

 

時間は、目に見えない。 

時計の針や数字が、かりそめの表示を通して わたしたちに知らせる。

編みものするひとの手に、春。

 

 

編みものするひと|神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
ひとつひとつ、目を数える。 一秒一秒の時の進み。 時間は、目に見えない。 時計の針や数字が、かりそめの表示を通して わたしたちに知らせる。 ふらりとカフェに入ると、編みものをしているひとがいた。 大きなカフェボウルにたっぷりとミルクが見える。 ゆっくりと温かな飲みものを飲みながら、 何を編んでいるのだろう。 みどりの草原を思わせる、帯状の編みものが膝へと伸びていく。 背を丸め、柔らかな表情で、新しいかたちを創造していくひとの 手から生まれ出るもの。 少しずつ、増えていく網目を見つめていると 刻々と時間が歩いていくよう。 ああ、新しい季節へ向けて、時が流れていく。 ひとしきり