ずうっと…考えていた
…わたしは何のためにこの世に生まれてきたのかと
1つの疑問が解けるとまた次の…
疑問がわいてくる…
始まりを求め…終わりを求め…
考えながら、ただ…ずっと歩いていた…
どこまで行っても同じかもしれない…
歩くのをやめてみるならそれもいい…
すべての終わりを告げられても…
「ああ、そうか」と思うだけだ
しかし…
それでも今日また一つ…
疑問の答えが出た…
己の存在理由について
寄生生物と人間の関係について
深い思索 探求 そして実験を行う特異な寄生生物「田宮良子」
「寄生獣」を読んだのは2017年1月、弟宅で留守番中。
風邪ひきで滞在中半分寝込んでいたので、退屈を紛らわすのに弟に勧められて。
少し前にAmazonプライムで実写の映画を観てみた。
一番興味があったのは田宮良子を誰が演じたか。
深津絵里さんだった。
いつもハキハキとした可愛い声とキラキラした瞳が印象的な深津絵里さんが
思考と感情と表情のバランスがとり切れていない寄生生物、中でも稀有な存在である「田宮良子」になっていた。
特に印象的なのが上記の台詞の場面。
硬質な声で、人間のものではない脳が生み出した思考の結果の言葉を紡ぐ。
以前から好きな女優さんであるが、見事だと思った。
この場面に心を打たれる人が多いようだが、それは恐らくこの映画のテーマの一つでもあろう「母性」が表現される場面だからだけではなく、
この、ずうっと考えてきたという田宮良子の心境に少なからぬ人が共感するからではないかと思う。
私もただただそれをずうっと考えながらもう少しで半世紀と呼べる年月を歩いてきてしまった。
どこまで行っても同じかもしれない…
最近とみにそう思う。
歩くのをやめてみるならそれもいい…
ひとりだからそうなのかもしれない。
でもそれに抗って生きてみている。
すべての終わりを告げられても…
「ああ、そうか」と思うだけだ
そんな風に自分の生の終わりを受け止められるようになれるものだろうか。
それを阻むものは何だろう。
やり残した、やろうともしなかったことへの未練か。
選んだこと、選ばなかったことへの後悔だろうか。
思いを残す対象も無い淋しさだろうか。
…この前人間のまねをして…
鏡の前で大声で笑ってみた…
・・・なかなか気分が良かったぞ…
最後に微かに微笑んでいるように見える表情でそう言い、田宮良子は絶命した。
笑顔を作ってみると脳に作用して気分が楽しくなってくるとも聞く。
おもしろき
こともなき世を
おもしろく
すみなしものは
心なりけり
(上の句は高杉晋作、下の句は野村望東尼によるとされる)
思考と行動で自分の生を精一杯興味深いものにする。
何のためにこの世に生まれてきたのだろう
考えると深く嵌っていってしまう。
お酒で紛らわすのではなく、思い切りとにかく笑ってみるのも良いかもしれない。
気分が塞ぐときは笑ってみよう 私も。
わたしたちをいじめるな
寄生生物と人間は1つの家族だ
我々は人間の「子供」なのだ
これが宇宙から降ってきて「この種を食い殺せ」という「声」に従って生きる寄生生物について田宮良子の出した結論。
映画を観た数日後に某国が宇宙軍を作り宇宙戦争の準備をするというニュースを目にした。
自らが住む地球を汚染し破壊し続けている人間を観察して「声」が寄生生物に命じる日が来てもいいのかもしれないと一瞬思った。