作家・篠山半太の雑用紙(著述業・法学・政治学・語学・時事・映画評論・教養) -2ページ目

作家・篠山半太の雑用紙(著述業・法学・政治学・語学・時事・映画評論・教養)

作家・篠山半太が著述業・法学・政治学・語学・時事・映画評論・教養などについて雑感を書き留めるブログ。

ライナー:(名詞)旧型鉄帽(六六式鉄帽)をかぶるときに中にかぶるもの。色はOD。中帽と同義。新テッパチ(八八式鉄帽)だと不要。


ラッキーストライク:(名詞)現場では縁起を担いでいやがられるタバコ。なお自衛隊では、未成年の飲酒喫煙は黙認である。


ラッパ:(名詞)起床、課業開始、課業終了、国旗降下、消灯などあらゆる時刻に駐屯地で鳴り響くもの。録音したものを流している駐屯地と、生で吹いている駐屯地(生ラッパ)がある。また、同じ駐屯地でも生ラッパの日と録音ラッパの日が分かれていることもある。

予算不足:(名詞)自衛隊の慢性疾患。特に隊舎の冷暖房とトイレ関係が深刻であり、虫さされによる被害、寝冷えによる人的損耗は甚大。


用意周到動脈硬化:(名詞)陸上自衛隊の気質を表す熟語。ちなみに海は伝統墨守唯我独尊、空は勇猛果敢支離滅裂。


容儀:(名詞)見た目の美しさのこと。自衛官の美学であり、習性である(陸海共通。空自は不明)。よって鏡は至るところに、もちろんロッカーの中にまである。容儀が悪い奴はナメられるのが、自衛隊のよき伝統。それこそが、自衛隊の「威容」を守るのである。容儀と礼式と部隊行動の美しさがかもし出す威容は、プロパガンダに最適である。編者はそれに加え、「心の容儀」も大切だと思うし、一度認識番号を持った以上は墓の下まで「容儀の精神」は守っていくべきであると考えている。ちなみに自衛隊の中では、本も背の順に並べる始末である。なお帽子のつばについて、編者は「お巡りさんは威圧感のために、目を隠す。だが自衛隊は国民の自衛隊であるから、目がキッチリと見えるように」と指導された思い出がある。具体的には、眉毛の上に帽子がこないといけない。用例、「容儀点検」。たまに道を間違えて「容疑者」になってしまう愚か者がいるのは極めて遺憾。


要望事項:(名詞)部隊長(主に中隊長以上)や学校長などが定める、掌握下隊員への要望事項。熟語であることが多い。


予科練:(固有名詞)旧帝国海軍予科練。「航空学生」制度のご先祖様。戦前は陸軍の少年戦車兵、海軍の予科練という制度があったが、編者の知る戦中派によると、新潟では「強制志願状態」だったらしい。


予備自衛官:(名詞)予備自。予備。対義語は「現役(自衛官)」「常備(自衛官)」。非常勤ではあるが、れっきとした『自衛隊員』である。憲法上は文民扱い。定員充足率、ただいま七割弱。開戦前から部隊が壊滅しているレベル。法律上は年「二十日」まで訓練できるが、実務上は最低で年五日、分割出頭可(二分割まで)で必要最低の練度を維持する。ただし警備勤務や語学訓練などで、五日間を修了した者から順に+αの訓練招集があり得る。実際に有事の際の招集となったら、専門職以外は再訓練しなければ使い物にはならないだろう。体力検定と射撃検定は、だいたい土日に入るのが相場。陸幕予備自室管轄、各地本所属。現役から退職する者は自衛隊に嫌気が差した者が多いので、志願者はそれほど多くなく、士気も低い。むしろ士気のある元自は、最初から即応予備自衛官に志願する。任期は三年で、任官ではなく「任用」と呼ぶ。地本を移る場合は「移管」と言い、毎月二十日に処理される。装具などの予算の関係上、「予備自衛官補」は住所地主義かつ方面隊主義、地本ごとの定員なし(予備自はあり)。従って、「方面隊またぎの転居」があった場合は絶対に届出が必要。有事にあっては招集を受け、任期付きの「現役自衛官」として行動する。任用の条件は、①一年以上自衛官を務めたもの、②予備自衛官補一般課程を修了したもの、③予備自衛官補技能課程を修了したもの、である。①については海空の予備自衛官の任用枠が少ないため、海空の出身者も混在する。なお海空で任期制をやっていても、陸では昇進(予備自では昇任ではなく昇進と言う)において考慮されない。ちなみに任期制をはしごすると、年齢的には「三自衛隊コンプリート」も可能である。かつては他自衛隊経験者は一士はじまりだったが、今はどうか不明。②については昇進(常備は昇任)は通常、陸士長までである。また、③については技能に応じ特別な訓練(語学の場合YS、FTX、小平学校など)がある。最も多い階級は3曹・士長。①②③を混在させた訓練では「無印」(①)「補」(②)「技」(③)などと、中隊編成図(一招集一中隊編成が原則)上、但し書きで区別されることが多い。招集先駐屯地は東京は朝霞、神奈川は武山、埼玉は大宮が中心。月4000円の予備自衛官手当(「予備隊員手当」、3%源泉徴収)と一日8100円の訓練招集手当(約13%源泉徴収)が支給される。平成27年度より、源泉徴収票希望者は切手の予算の関係上、返信封筒を地本に送る必要が生じた(予備自一人当たり、割り当て切手が二枚なので)。前者の予備隊員手当は一月~三月分を五月に振り込むなど、三ヶ月ごとに二ヶ月遅れで11640円が振り込まれる。五日に入金手続が取られ、二十日までには入金。後者の訓練招集手当は、訓練出頭の直後に振り込まれる。前者は地本より、後者は会計隊より。他に遠隔地から来て前泊した場合に前泊手当が支給される他、招集部隊から二キロ以上の地域に住んでいる場合は交通費も支給される。他県の地本に登録することも可能だが、交通費の上限は「方面隊」レベル。平成23年度より、訓練の服装がOD作業服より迷彩服2型に更新された(ただし迷彩の八八式鉄帽ではなく、中帽の必要な六六式鉄帽。統制上意味不明だった)。停年にあたる「上限褒賞」は「六十歳を迎える年を含む任期の満了日」。かつては訓練招集命令書は配達記録で配達され、受領者は「受領書」を官製はがきで地本に送っていたが、現在では特定記録で配達され、受領報告は電話またはメールである。外務専門職員の某予備2士は、「官僚風を吹かすな」と背広での出頭を禁止されていた。陸曹長で予備自になった者は、定年までに准尉にまでは昇進可能(恐らく幹候が終わった時点で辞めたものと思われる)。東京地本経由で朝霞の予備自衛官センターに行くと、五日間訓練の帰りに増加食を毎回くれるが、その年の予算によってクオリティは異なる。①については任期制上がりであっても陸曹教育隊を経ることなく上級陸曹まで昇進が可能なので、「まともに号令もかけられない上級陸曹」が多々いる。三任期+予備自登録で営門3曹というケースも見受けられるが、個人的には予備自での陸士から陸曹への昇進はいかがかと思う。予備自の集合報告は単に、「~小隊集合終わり」などで済ませる。2011年東北地方太平洋沖地震では、制度発足後初めて実戦招集がかかった。2011年度より、東京地本では迷彩2型・八九式小銃での訓練が開始された(それまでは六五式作業服に旧型半長靴、六四式小銃)。遠方の人間は前日泊(ぜんぱく)して訓練に臨む。


予備自衛官補:(名称)通称「予備自補」。教育期間中は階級が存在しないため、「(氏)予備自補」と呼ばれる。一般と技能が存在し、前者は士(二士から始まり、相場としては一年ごとに一階級上がる)、後者は幹部または曹に任用される。技能は受験可能年齢が高いが、これは技能公募採用者に社会的地位の高いものが多いため、自衛隊の活動を正当化するための広報要員として実務上運用しているためである。衛生(甲)と法務は五十五歳~五十四歳、それ以外は五十三歳まで受けられる。一番簡単に取れる受験資格は、語学・英語(翻訳・通訳・情報収集・情報分析担当。普通科を指定されるが、将来的に語学は情報科に移行予定。なお、当初情報科は「インテリジェンス」ではなく、秘匿のため「インフォメーション」と公表されていた)のTOEIC660。受験資格は年齢制限の他、「自衛官であった期間が一年未満のもの」であること。出頭時の身体検査は、AB(戦前の甲乙)が合格、CD(戦前の丙丁)が不合格。主に血圧で引っかかる者が多い(上140を越えると、「降圧剤飲んでこい」と返される)。幹部はたいてい停年組。なお昔の訓練出頭時の手当は、なんと銀行振込ではなく手渡しであった。なお、「学生予備自補」には確定申告で税を取り戻すことを強く推奨する。


四単位制:(名詞)陸自の部隊編成の原則。原則として一個連隊/大隊は四個中隊に、一個中隊は四個小隊に、一個小隊は四個分隊になる。

U幹部:(名詞)ゆー。ゆーかん。うつけ。ウンコ。(防大・防衛医大以外の一般大学を出て)一般幹部候補生(一般幹候)として入隊した幹部。現役自衛官のまま「一般幹部候補生」試験に合格したもの(よく勘違いされるが、大学卒業の学歴は受験要件ではない)は「U’、ユーダッシュ」と呼ばれる。部内から受験する場合のみ、受験年数が二年緩和される。因みに東京からU幹部を受験する者は、陸の志願者が最も多い。


有事即応:(名詞)字面通り。自衛隊の合い言葉。


優勝劣敗:(名詞)戦術学の基本。武力において優れているものが勝ち、劣っているものが敗れるという鉄則。


郵政:(名詞)駐屯地の郵便物を取りまとめて区分する仕事。臨勤。


誘導弾:(名詞)ミサイルのこと。


輸出マーク:(名詞)米軍の日本人雇用員用語。アメリカ兵と結婚して、アメリカに行く女子雇用員のこと。ビッチ。ちなみに米軍日本人雇用員は厚生年金、給料は国家公務員準拠という隠れた好待遇である。


指切り:(名詞)連発射撃で、引き金を引いたり離したりしてバースト射撃を行うこと。上手い人は威嚇でも実射でもできる。六四式時代に熟練した小銃手に求められた技術。


指セーフティ:(名詞)引き金を引く指を外に出す、物理的安全措置。

やってられない:(間投詞)「首から下の公務員」なら、誰もが一度は思うこと。薄給激務であるが、分かった上で入っているのでグチを言いつつも続けるのが制服組。なぜなら、給料じゃなくて「プライド」でやる仕事だからである。


ヤマ:(名詞)演習のこと。例文、「ヤマに行く」。


薬物検査:(名詞)採用試験時の身体検査で行われる。薬物事案が多発したことから導入された。なぜか自衛隊は、昔から薬物事案が多い。

申し送り:(サ変名詞)引き継ぎのこと。用例、「申し送り事項」。編者が知る他省庁でも使っていたことから、官庁用語と思われる。


網線:(名詞)照準眼鏡(スコープ)についている目盛り。移動目標を射つときなどにも使う(リードを取る場合)。


毛布:(名詞)上げ床のときには、「バームクーヘンのように」畳みましょう。


目主集経統機奇保簡:(名詞)もくしゅしゅうけいとうききほかん。目標・主動・集中・経済・統一・機動・奇襲・保全・簡明の戦闘九原則。詳細は、保全に触れるので記さない。語学要員は戦術にある程度通じることが求められるため、教え込まれる。簡明の原則は、長い通信にはリスクしかないため存在する(時間がかかる、電波探知されるなど)。


モールス:(名詞)モールス信号。モスの一。自衛官はみなモールスができると思ったら大間違いである。Sig(通信科)の連中は、ネタでモールスで会話したりする。上級語学モス持ちも同様に、露華鮮で会話をしたりする(その場合はスパイ扱いされるのがお約束)。


木銃:(名詞)小銃の形をした、木でできた訓練用具。射撃予習のときに使う。「タンポ」と呼ばれるクッションを先端につけて、銃剣道の訓練にも使う。銃剣道の有効打突は「突き」だけだが、「銃剣術」は突く、斬る、叩く、殴ると色々ある。


モグラ掘り:(名詞)射撃の際、的の手前の土手に着弾させて砂煙をあげてしまうこと。


モス:(名詞)ミリタリー・オキュペイショナル・スペシャリティの略。特技と同義。自衛隊は「階級社会」であると同時に「資格社会」でもあり、モスがないと何もできない。例えば大型自動車免許を持っていたとしても「装輪操縦」のモスがなければパジェロ(昔はジープと言った)すら運転できないし、TOEICが990点の満点でも、上級語学のモスがなければ通訳ができない。また必ずしも職種と一致するとは限らず、「普通科の衛生モス」などという隊員もいる。「レンジャー」「空挺降下」も立派なモスである。ボーイスカウトにも特技認定章のように似た制度があるので、イギリス軍でも同じような仕組みなのかも知れない。


元自:(名詞)元自衛官のこと。秋葉原のバラエティショップMADの店主などの自営業や、警備業界・運輸業界に多い。


元の位置:(間投詞)元の位置に戻れ、という号令。


模範生徒:(名詞)工科で新入生の模範となる三学年の生徒。各区隊に三人配置。朝のかんぷ摩擦をみんなの前でやったりする。三ヶ月ごとに交代。

迷彩服:(名詞)課業において最も用いられる、現用の被服。正式名称は「作業服迷彩2型」(迷彩服2型。現在は3型)。新型迷彩と同義。上衣をズボンに入れないため、匍匐前進時に砂が入らない、ポケットに折り返しがあり土が入らないなどの工夫がなされている。


面会:(サ変名詞)アポを取り、警衛司令の掌握下にある警衛所で手続きをすると、面会室で営内者と面会ができる。完全に刑務所のノリである。

見出し:(名詞)みいだし。照門の中央と照星頂を、きれいに合わせること。これと『狙い』を合わせたものを『照準』と呼ぶ。


右方用意:(名詞)みぎかたようい。射撃検定の時の安全確認用語。「右方よし」と返す。「左方用意」も当然ある。


みち足(道足):(号令)目標××、みち足ー進めッ! で整列して歩く。縦隊に対する途中の号令を簡略化するための便利な号令。


見取り稽古:(名詞)見学のこと。


身分証明書:(名詞)なくすとやばい。現在の様式は認識番号、氏名、発行年月日と付与文書番号、個人識別情報が刻印され、幕僚長等の印章が押されたカード。かつては表に氏名、認識番号、階級、顔写真。裏には親指指紋(受刑者じゃないんだから……)、生年月日、身長、体重、発行者。なお、警察は採用時に五指全ての指紋を採られる。


耳栓:(名詞)射撃時に、難聴予防のために必須のもの。古参はティッシュを丸めて耳に入れているが、まるで効果がない。PX品は「きのこの山」みたいな形の耳栓であり、紐の先を作業服の襟にあるボタン用の穴に結ぶ。


民生協力:(名詞)民間のイベントへの協力。札幌の雪まつりが有名。

マーク:(名詞)海自用語、空自用語。「職域」に同じ。陸自の「職種」に相当する。


舞鶴:(固有名詞)かつて、海軍機関学校と舞鶴鎮守府があったところ。現在は海上自衛隊術科学校と、海上保安庁の海上保安学校がある。


前川原:(固有名詞)まえがわら。前川原駐屯地。幹部候補生学校にほぼ同じ。


間稽古:(名詞)まげいこ。課業のはざまに行われる教育のこと。教育隊では、とにかくスケジュールがミリミリで時間がない。


待て:(間投詞)射撃訓練時に危険を感知した場合、必ず叫ばなければならない言葉。階級は関係なく、この号令には全員が従わなければならない。


MAMOR:(固有名詞)マモル。扶桑社発行の広報誌。防衛弘済会発行の「セキュリタリアン」が休刊した時期に、完全民間企業の扶桑社側から立ち上がった企画だった。一般書店への搬入ルートに乗っているため、柵の外でも買える。「朝雲」「自衛隊スポーツ」(朝雲新聞社)「防衛ホーム」(防衛ホーム新聞社)「海上自衛新聞」(海上自衛新聞社)「MAMOR」(扶桑社)が(準)機関紙・(準)機関誌として有名。これに加え、防衛省の「防衛白書」、朝雲新聞社の「防衛ハンドブック」「国際軍事データ」「アジアの安全保障」「自衛隊装備年鑑」などが、自衛隊の政策研究の一次資料として入手しやすい。周辺国研究には、中国なら人民日報(ネットでは人民網日本版)、新華社(ネットでは毎日中国経済)、解放軍報(英語ネット配信)、工人日報。北朝鮮なら労働新聞、民主朝鮮、朝鮮人民軍、青年前衛。朝鮮総連の「朝鮮新報」は簡単に手に入るし、ネットでも配信している。また朝鮮日報・東亜日報・中央日報の韓国三大紙は日本語ネット配信をしているので、それからの情報も取れる。ロシアのプラウダとイズベスチヤは今は野党側なので、全く価値がない。テレビなら自衛隊はチャンネル桜、北朝鮮は朝鮮中央通信、中国は中国中央電視台、新華社。こういった公然情報から情報分析を行うことを「オシント(オープン・ソース・インテリジェンス)」と呼ぶ。


丸刈り:(名詞)罰直の一。教育隊を出たあとも、レンジャー教育などで都度やられる。

防衛医科大学校:(固有名詞)通称、防衛医大。防衛省が持っている二つの「大学校」のうちの一つ。卒業後は旧軍医相当の「医官」になる。藪医者の生産地。主にお金がない医師志望者が入ることが多い。難易度は別格で、旧帝医学部クラスとも言われる。九年間勤めないと「学費返還義務」が生じるので、俗に「懲役九年」と呼ばれる。だが外部からの引き抜きがあり、その場合は引き抜き元の病院が一括で返還する学費を支払ってくれる。航空会社が自衛隊のパイロットを引き抜くケースにも似ている。


防衛記念章:(名詞)諸外国で言うところの「勲章の略綬」。常装の左胸に装着し、男性の場合は縦三列、女性の場合は縦二列。俗称、「グリコのおまけ」。10年勤続の33号は「赤いきつね」、25年勤続の32号は「緑のたぬき」、縁故募集などの13号は「人さらいマーク」と呼ばれる(これをつけている人を、編者は信用しない。閻魔の裁きが必ず待っているであろう)。常装着用時には、現役自衛官は必ず装着しなければならない。災害派遣などでも貰えるが、編者の知人に、災派の時に「営内で待機していただけ」で出動扱いになり防衛記念章を貰った奴もいた。「あたご」事故の際には、艦長が防衛記念章を自らの意思で全て外した上で、遺族の所に謝罪に赴いた。自衛隊では、階級よりも防衛記念章の数がものを言う。


防衛弘済会:(固有名詞)防衛省所管の財団法人。天下り先。自衛隊の福利厚生事業や、防衛思想の普及などを活動目的としている。


防衛駐在官:(名詞)事実上の駐在武官。陸では1佐ポスト。CGS必修。他にも在外公館には「在外公館警備対策官(1尉ポスト)」として出向する場合がある。なお幹部自衛官の海外赴任については、中国へは陸自小平学校中国語課程修了、ロシアへは陸自小平学校ロシア語課程修了、韓国へは陸自小平学校韓国語課程修了、ドイツへはドイツ一般幕僚課程修了、フランスへはフランス指揮幕僚課程修了、ベルギーへはフランス指揮幕僚課程修了または一年間のフランス語研修が求められる。


防衛ホーム:(固有名詞)防衛ホーム新聞社発行の準機関紙。朝雲・自衛隊スポーツ・海上自衛新聞と並ぶ。


防寒中衣:(名詞)ぼうかんなかい。冬期などに中に着用する、ラクダ色のセーター。


防護マスク:(名詞)通称「ガス面」。対化学戦用の有毒ガス対処用マスク。草刈りのときに着用したりもするが、シャバから見るとかなり怪しい。


砲手:(名詞)戦車などにおいて、指揮命令のもとに砲撃を実施する者。なお砲塔(ターレット)旋回時に自然と脱げるよう、戦車乗りは半長靴とも防寒靴とも違う、独特の靴を履く。


坊主:(名詞)新隊員・新兵の髪型(新兵を殴るのに理由は要らない)。教育隊などでは、外出日になるとワラワラと坊主頭の集団がシャバの店に押し寄せてくる。また、罰直としても用いられる。


防水区画:(名詞)海自用語。船が攻撃を受けたときに一発で沈まないよう、船内の区画を遮断する防水ハッチがあるが、古い船にはダクトが通っているためまったく意味がない。


法務官:(名詞)自衛隊にもいるが、軍法会議がないので司法権は行使しない。職種は関係なく、正面職種の幹部などでも普通に補職される。


方面総監賞:(名詞)准尉への切符。


方面隊:(名詞)Army。略称はA。陸上自衛隊には北方(ほっぽう)、東北方(とうほっぽう)、東方(とうほう)、中方(ちゅうほう)、西方(せいほう)の五方面隊が存在し、曹士は原則的に、『方面隊またぎ』の転属は志願制。ただし、近年の改革により『方面隊またぎ』の補職異動は志願制ではなくなる見込み。


BALL:(名詞)ボール。武器科弾薬MOS用語。「普通弾」のこと。


保校:(固有名詞)ほこう。海上保安学校のこと。防大落ちが多い。「保大」とも言う。


ボサ:(名詞)ヤブ、茂みのこと。「Bush」の転訛か。空自でも使う。


簿冊:(名詞)ぼさつ。帳簿・冊子類のこと。例文、「厚生図書持ち出しの際は簿冊に記入されたい」。


補士:(名詞)☆。星。曹候補士のこと。平成二年募集、平成三年(1991年)四月入隊が第一期。平成十六年四月入隊は十四期。十七期までいた。現在は一般曹候補生に、曹学とともに統合。曹学と異なり、曹に昇任できる保証はなかった。友人のK士長は、「懲役五年」で見切りをつけて除隊した。陸曹候補者き章を、階級章の上に一つだけ着用する。


星:(名詞)階級のこと。正確には、意匠は桜。


星の数より飯の数:(慣用句)階級よりもキャリアがものをいう場合が実務では多い、という意味の慣用句。部下だけど大先輩、という人をうまく立てるのも給料のうち。飯は「メンコ」とも発音する。例えば幕僚長であっても、キャリアが長い尉官を佐官より多く時間を割いて面会したりする。


募集相談員:(名詞)民間にあって広報官をサポートしてくれる、心強い存在。陸自は人が戦力なので、頭が上がらない。


歩哨:(名詞)部隊の目であり、耳である。不審者がいた場合は銃を向け、「誰か!」や「止まれ、合い言葉!」とドスの利いた声で尋ねる。二人でやる場合は、足の横をたたき合わせる、絡ませる(昔の方式)などして不審者発見を知らせる。複哨の交代のときに敬礼は不要。


補職:(名詞)命ぜられる地位。


補職異動:(名詞)民間で言うところの人事異動。転属。毎年原則として、三月二十三日と八月一日に行われる。海自では通じない。


保全:(名詞)守ること。単に保全と言う場合は、情報保全のことを指す。心に鍵をかけること。しゃべらぬこと。それが全てである。防衛秘密、つまり軍事機密を守ることである。平成十二年のボガチョンコフ事件を期に、「調査隊」は「情報保全隊」と改称され、統合幕僚長直轄体制で強化された。情報保全隊は自衛隊の防諜と情報収集(その公安的性質から、身内にも顔や名前を知られるのを嫌うが、はっきり言って脳筋である)、警務隊(白バイも持っているが400ccの中型。警察は大型。自衛隊で取れる免許に大型二輪はない)は憲兵業務を司る。この二つは非常に政治性が高い部隊であり、警務隊の覆面パトカーは六桁の自衛隊ナンバーではなく一般ナンバーだが、ルームミラーが二つついているので見分けがつく。なお、職種が違う場合は保全のため細かい話はしないという掟がある。例文、「秘密保全」「情報保全」「部隊保全」。


保大(固有名詞):脳筋。海上保安大学校。防大落ちの巣窟。なんと、灘から保大に行った人がいるらしい。なお国交省旧運輸系は法務省の上、文科省と同じくらいの三流官庁なので、防衛省に対する対抗意識がある。


補聴器:(名詞)予備自衛官は高齢者が多いので、補聴器を使用している者も存在する。逆に言うと、そうでもしなければ定員を充足できない。


北方仕様:(名詞)北方、つまり北部方面隊(NA)が冬期に使う装備品の色彩。とにかく白くすればよい。


補備教育:(名詞)補習のこと。高工校では使う。


ポリッシャー:(名詞)隊舎の居室や廊下を掃除するための機械。お偉いさんが来るときなどに大活躍。


捕虜:(名詞)国際法上、階級によって扱いが異なる。兵は労働、下士官は労働監督、将校は労働義務なしである。なお労働の日当は終戦後、自らが所属する国に条約に基づいて請求する。スイスフラン建て。


本管:(名詞)連隊の下にある、「本部管理中隊」のこと。連隊の下は、大隊があるところとないところがある。大隊の下はまず中隊。軽ではない通常の普通科連隊なら、本部管理中隊に四個中隊、重迫中隊が基準。一普連は五中隊まである。

平均弾着痕:(名詞)へいきんだんちゃくこん。点検射において、三発射った弾着痕の平均位置。それに基づいてクリック修正を実施する。


ベッドバディ:(名詞)二段ベッドの上下の仲間。教育隊以外では、基本的に上位者や先任者が下。


ヘリパイ:(名詞)ヘリコプターパイロットのこと。陸自は海自・空自とは違い、パイロットを部内選抜する。基礎課程を終えてから、対戦車や輸送に別れる。また、固定翼の連絡偵察機パイロットなどもヘリパイから選抜する。


ベレー帽:(名詞)略帽。常装の一。帽章の向きは真正面ではない。真後ろに当たる部分に、指でつまめる黒い目印がある。日本では帽章を左目の真上に、右のへりを垂らして着用する。着用法は国によって異なるが、「きのこかぶり」だけは本気でかっこ悪い。


編成完結式:(名詞)「申告します」で始まる申告ののち、部隊の編成を確定する儀式。これによって部隊を成立させることを「編成完結」と呼ぶ。対義語は編成解組式。略式の場合は「これをもって~隊の指揮を解く」と指揮官が言う。空でも、観閲などのときのために編成完結式は存在。「編成完結」なる語は戦前でも使われていた。


返納:(サ変名詞)除隊・離隊・異動などに際し、貸与されていた官品を返却すること。厳しいところでは、「OD手袋」(OD色の軍手)までプレス(アイロンがけ)して返納する。だが官品をすべて返納したとて、決して返納してはならぬ「兵士の本領」があると編者は思う。