チッチのショートショート第１９回は【啓 示】です。この間、生でニットスーツを見ました。涼し気でしたね。色はライトグレーでした。ちょっと着てみたいですね。あとそれと、この頃けっこうメッシュブレザーの記事読まれてます。ブレザーに興味がある方がまだまだ多いんでしょうね。といったところで、それでは本編をどうぞ (*'▽')
数年前のある冬の夜のことだ。仕事帰りに足を止め、星空をながめていると、目の前に突然、光とともに翼の生えたブタが現れた。と同時に、勢いよくブーブーいい始めた。ブタはおやつをねだる犬のような目つきで、どうも何かを訴っているようなのだが、当然こちらはブーブーブタの言葉は分からない。そこへ顔見知りのノラ猫のルル（近所ではこう呼ばれている）がひょこっと現れ、ブタ目がけてジャンプすると、ブタはぱっと消えてしまった。あっという間のできごとで、二十秒もなかっただろう。
あのブタは天使であり、あれは啓示だったのだと思う。そして、啓示というものはあれでいいのだ。神は人間の理性を超えた存在なのだから、神の指し示すビジョンは人間の言葉では言い表せない。どんなに意味不明な言葉であろうとも、人間の言葉で表現できるならば、その表現されたものはけっきょく理性の範囲内ということになり、神のビジョンではなくなる。あのブタは神のビジョンを忠実に示したのだ。あのブーブーこそ神のビジョンそのものなのである。
あれ以来、夜空に目をやることが増えた、もう一度ブタの天使を見たくて。そして、ルルと会った時にはこういう、「今度は飛びついちゃだめだぞ」と。
（原稿用紙1.4枚）
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