福島県いわき市平にある児島ジーンズも売ってる変な酒屋『酒のしのぶや』三代目店主(仮)の佐藤浩一です。
二代目店主の親父が酒ディスカウントでやっていた時に、方向転換をしようと思って色々試していたことの一つとして新聞折込がありました。
毎月出していた新聞折込
地元では一番先に酒ディスカウント店として始めて、その時には周りに酒ディスカウント店がなかったので売上は右肩上がりだったそうですけど、そのうちに1店酒ディスカウント店ができ、さらにすぐにまた1店とできていくと価格競争が激化していってしまいました。
問屋さんには価格交渉をし大量仕入れすることで仕入れ価格を下げてもらったり、他店よりも1円でも下げなくちゃ!という恐怖感にかられていたそうです。
売上も頭打ちになり酒ディスカウント店の数も多くなってくると、今までのお客様は1円でも安い方へと流れていってしまい、段々とウチから離れていってしまったんです。
その時には新聞折込を各店入れていてウチも毎月出していました。
さらに粗利を圧縮してしまう
普段から価格競争なのに新聞折込で通常よりも安い価格で、なおかつ他店よりも安い価格で折込を入れなければいけないので、薄利な粗利をさらに圧縮しなければいけない状態でした。
なんでそんな無駄なことをするのか親父に聞いたことがあったんですけど、親父曰く『新聞折込を出してないとお客様に忘れられちゃうから出さなきゃいけないんだ』って。
今思えば確かに昔はSNSも無かったしお客様に伝える手段としては新聞折込しか無かったんですよね。
ディスカウント商品案内チラシ
当時のチラシが残ってないのでお見せすることができないんですけど、まぁよく見る安売りのチラシですよね。
A4の紙に商品名と商品写真といくらの商品が値下げしてこの価格!みたいな感じのがビッシリ詰め込んである、皆さんが頭の中でイメージできる激安店のチラシです。
印刷してもらって折込業者に頼んで経費は1回広告を入れるのに20万弱だったと思いますが、それだけの経費をかけてチラシ価格で粗利を下げてでもやらなければいけなかったんですよね。
方向転換でチラシの内容変更
業態変換をするにあたって僕が試した新聞折込の内容を変えてみたことなんですけど、最初に安売り商品の羅列チラシじゃなくて自分で気に入って仕入れたお酒の案内を書いてみたんです。
当時テレビで観た「たまに行くならこんな店」っていうコーナーがあって、普段からしょっちゅうは行けないけどたまにならこんなお店に行ってみたいって企画だったと思います。
それをパクって『たまに飲むならこんな酒』って枠を作って、たまにはちょっとした贅沢なお酒を飲んでみませんか?というメッセージを込めて、晩酌で毎晩飲むにはちょっと高いけど何かあった時にちょっとした贅沢をする時に飲んで欲しいお酒を、1種類事細かに説明を書いてやってみました。
毎月出してるし1枠くらいなら続けてみようとやってみたんです。
書く内容もスペックよりも自分のこのお酒の対する思い・それを造っている蔵元さんの思い・その商品の裏側にある物語なんかを書くようにしてました。
当時のチラシは全部無くなってしまったのでお見せすることができませんが、以下の2枚は今のお店で僕が書いている商品の値札です。
読みづらくてすみません(^^;)
3ヶ月目くらいから変化が
始めてから3ヶ月目くらいにお客様がチラシを持って「このお酒飲んでみたいからちょうだい」って言っていただけたんです。
この時は本当に嬉しかったですね。
その後も少しずつだけどそういうお客様が増えてきて、今までは安売りの商品に赤丸をつけて「これ何箱」って言われてただけのチラシが、自分でやったことに対する反応が大きくなってくるのって本当に嬉しいですよね。
そういうお酒の紹介コーナーの面積が段々大きくなっていって、最終的には紙面の3分の2が商品紹介のコーナーになり毎月楽しみにしてくれる方が増えてきて、そちらの商品の売り上げも上がってきたんです。
ちなみにこのコーナーで紹介していた商品は蔵元さんの意向により値下げも値上げもできない、いわゆる値崩れしない商品です。
だから他店よりも1円下げなくちゃって考えていたのが馬鹿らしくなってきました。
それが定着して行った頃には毎月出していた新聞折込も3ヶ月に1度くらいに減ってましたね。
今日入ってきた新聞折込を見てそんな事を思い出しました。