【タイトル】
The Great Escape ―COMPLETE BEST― [DISC 1]
【アーティスト】
JUDY AND MARY
【リリース】
2001/5/23
【トラック】
[1]Over Drive
[2]ラッキプール
[3]クラシック
[4]motto
[5]くじら12号
[6]KYOTO
[7]夕暮れ
[8]RADIO
[9]Hello!Orange Sunshine
[10]手紙をかくよ
[11]イロトリドリ ノ セカイ
[12]Cheese “PIZZA”
[13]ラブリーベイベー
[14]おめでとう
[15]ステレオ全開

【総合評価】3.6


 メジャー活動は1993~2001年。活動期間を見ると意外に長くはないと感じると同時に、解散から既に15年以上経っていることにただただ驚く。そして知名度がど真ん中の世代に限らずそこから上の世代・下の世代までと広がりがある。ヴォーカルのYUKIをはじめ解散後もメンバーそれぞれが活動している事も無論あるだろう。


 この作品は同年3月のバンド解散直後にリリースされたベストアルバムではあるが、選曲はファンの投票によるもの。リリース年代もバラバラになっており、誰もが知っている楽曲からアルバムまで聴いていないと分からない楽曲まで入っている。次回の[DISC 2]にも共通しているのは序盤に知名度高めの曲がきている点、要はそれが得票数の上位だったということになる。


 とかくこのバンドはイントロが強い。ギターでばっちり溜めをつくる王道パターンから、音自体を変えてくるパターン、ギターに別の音をミックスするパターン、フワッと入るパターン、すぐAメロに入るパターンなど。それでいてどれも印象的に仕上がるので、曲名でピンと来なくてもイントロを聴けば大体思い出す。


 [DISC 1]では『クラシック』が中心軸と個人的に考える。最初のイントロが短く直ぐにメロディーへ入るが、全体としては王道でここが一番どっしりしている。このクオリティーで来られると後々出てくるアーティストはまず敵わない。リリースが1996年なのでデビューからすれば早いようにも感じるが、シングルとしては10枚目であり『そばかす』の次だったので当然知らないほうが割合として少ない。

 聴きどころは中盤、テンポとしてはミディアムだったりするがそこがまた強い。YUKIのヴォーカルが魅力的という声も多いが、やはりそれを支えるサウンドが手厚い。ハーモニーやギターサウンドを入れるにしても終盤サビを繰り返す部分では入れなかったりするなど、際立たせなければいけないところをキッチリ際立たせる。


 メンバーそれぞれが誰かしら先人の影響を受けているのは間違いないが、とにかくこのバンドからは様々なアーティストに似たサウンドの匂いを感じる。イントロ、ヴォーカル、間奏、アウトロ…それらの良いとこ取りと言うとオリジナリティがあまり無いような表現だが、全くもってそのようなことはない。


 投票上位曲の集まりであるこの作品、ファンであったり手広く聴いているかは中盤~終盤の楽曲をどれくらい知っているかという事が1つの基準になる。アルバム曲やc/w(カップリング)それにデビューから最初のスマッシュヒットを出すまでにリリースされた楽曲も加え、全体の1/3がそのポイントと言ったところか。結構な割合で楽曲を知らなかったとしても特に問題はないが、イントロを聴かずに曲名だけで8割・9割知っているという方はそれなりに自慢して良いと思う。


 次回の[DISC 2]にも[DISC 1]には無かった代表曲が多く収録されている。そもそも「1」と「2」の違いは何かというとランキング順位の奇数と偶数の違い。確かにそうすることで内容の差は出ないかもしれないが、決め方としては多少トリッキーである。(完)