【タイトル】
白と黒 [Disc.01]
【アーティスト】
谷山 浩子
【リリース】
2005/12/7
【トラック】
[1]銀河通信
[2]カントリーガール
[3]まっくら森の歌
[4]学びの雨
[5]会いたくて
[6]小さな魚
[7]河のほとりに
[8]SORAMIMI ~空が耳をすましている~
[9]ひとりでお帰り
[10]お早うございますの帽子屋さん
[11]風になれ ~みどりのために~
[12]空
[13]MOON SONG
[14]恋するニワトリ
[15]海の時間
[16]神様
[17]ねこの森には帰れない

【総合評価】3.3


 キャリアの長い歌手や、歌手も兼ねる時代があった女優などからその名が出てくることもある。しかしたとえ聞いたことがあったとしても一般に知られているのは歌声のみという割合が多いシンガー・ソングライター。

 その経歴を見れば、まず14歳でレコード会社に自作曲を持ち込み採用。歌手としてのデビューはこの年ではなく数年後の1972年、かと思えば1975年・1977年にもデビューという形となっている。3度のデビューとは如何なることかと誰もが疑問に思うだろうが、一応それぞれに事情がある。しかも3度目のデビューでまだ20歳そこそこ、今も活動しているので大がつくベテランではあるが年齢としてはまだ還暦を越えたくらいなのである。

 にも関わらず知る人間がそこまで多くないというのは「奇才」の部類に入るかもしれない、とはいえ奇才と言うべき要素は主に楽曲にあるので無論これは補助となる理由に過ぎないのだが。


 『ねこの森には帰れない』に衝撃を受けて音源入手に走ったわけだが、よくよく聴いてみると『カントリーガール』は何処かで聴いたことがある。もっと言えば『恋するニワトリ』を小学生の時に聴いていた記憶が甦る、調べてみると「みんなのうた」に選ばれていた。それで聴いた記憶があって、一方の『ねこの森には帰れない』を義務教育期に聴いた記憶は何処にもなかったのかと変に合点がいく。何故なのかは歌詞を聴いてもらえば何となく解る、小学生が聴くべきではない内容では全くないのだが。


 CDジャケットがタイトル通りで白と黒のシンプルな仕様、それで[Disc.01]の曲目を見ただけでは何処か穏やかな気持ちになってしまう。だが、それは本質のほんの一部を見ているに過ぎない。詳しくは[Disc.02]の項で説明するが、元々谷山浩子を知らなかったという方は取り敢えず[Disc.01]でその何とも不思議な音楽空間に身を預けるだけで構わないと思う。タイトルや歌詞内容を突き詰めずとも、本質に触れていることには違いない。


 コンサートは行うがメディアとりわけTVにはほとんど出てくることがない。民放の場合は単純にどういう切っ掛けで取り上げて良いのか掴み所がないのだろう。公営放送には「みんなのうた」というカードがあるがそれを使ったところで上手く存在が伝わりきるかどうか、一部から反響は出ると思うが。


 因みに楽曲は1970年代の作品を中心に採用されてはいるが、『ねこの森には帰れない』などは1990年のアルバム製作にあたり歌い直しをした音源から採用している。そのため、原曲と聴き比べると微妙に使用している音が違う。


 アルバムタイトルが《白と黒》。シンプルに[Disc.01]と[Disc.02]の対比と考えても間違いではないと思う。それを踏まえて次回の[Disc.02]へ続く。(完)