【タイトル】
Natural Breeze ―KAHALA BEST 1998~2002―
【アーティスト】
華原 朋美
【リリース】
2002/7/17
【トラック】
[1]tumblin' dice ―Original TK Mix―
[2]here we are ―Single Mix―
[3]daily news ―STRAIGHT―
[4]needs somebody's love
[5]as A person
[6]be honest ―Original Mix―
[7]Blue Sky
[8]True Mind ―Original Mix―
[9]Believe In Future ~真夜中のシンデレラ~
[10]Never Say Never ―japanese version―
[11]PRECIOUS ―japanese version―
[12]あなたのかけら
[13]あきらめましょう

【総合評価】3.3


 いわゆる絶頂期だけしかイメージにないとこの作品はベストアルバムという感じがしないようにも見えるかもしれない。実際のところ本人にとって様々な事があった意味を踏まえればただベストアルバムと紹介するのは軽々しいのではと思うくらいではある、『あきらめましょう』はその「境地」と何となく見えなくもない。 が、音楽的には1つの区切りでしかない。


 作品の期間というのはレーベル移籍による区切り方で第二期と言ったところか。レーベルを移籍しても「TK」の表記があるように小室哲哉との関係は移籍前後はまだ緊密なものであったとされる。

 しかしこの後自宅で倒れてしまったり、体調不良になったりして何処か精神的に安定を保てていないイメージを露呈。そうして世間から注目を集めてしまったがために小室哲哉との関係が終局となっていた事も露見する。確かにショックは大きかったかもしれないが、それ以上にマスコミが本人の精神不安定を過剰に煽っていたような気もする。


 その時期に都市伝説となったのが某清涼飲料水のCM、出演したタレントはそのうち消えるという何とも恐ろしい言い伝え。ちょうど『tumblin' dice』が起用された上に本人が出演していた事もあって信憑性に拍車がかかった。ジンクスという捉え方はやや大袈裟と思えるが、よく当たるという表現は間違いとは言い切れない。


 無期限休養を経て、アメリカに渡り「這い上がり」でデビューするという番組企画に参加。海外の知名度が低くとも日本では売れていたので同じ番組系列の「崖っぷちバンド」の企画ほど切迫感のあるものではない。それでも売り込みが結実するまで生活レベルを下げられていたのだから、少なくとも今のぬくぬくしたアーティストの待遇よりは大分きついものがあったのだろう。

 そこで収録したのが『Never Say Never』、この時は音源しかなかったが日本帰国後にリリースされた。この時期が2001年頃である。


 そして『あきらめましょう』のヒットで再び第一線に本格的に戻ってくる。これを復活と表現できなくもないがこれまでの経過は「紆余曲折」というのが妥当であるから、復活というほど衰えていたわけではない。


 これだけの内情があってもやはりそこはプロである、ジャケットを見ても無邪気に笑っている本人が写っているだけで情に訴える印象は微塵もない。それだけに些細な事でも周囲に関心を向かせるのは、知らず知らずに備わっていたタレント性なのだろう。業界のスタートがアイドル(グラビア)だった事もそれを何となく示している。


 因みに小室哲哉は華原朋美との関係解消の後2001年に結婚しているが、相手は今の奥さんではない。自分より上の世代なら微かに覚えているかもしれないが同じ業界の人間で、その期間は1年にも満たなかった。印象にあるのは破格と言える慰謝料の額くらいで、離婚した同年にKeikoと再婚しているため全くといっていいほど記憶されていない。むしろ覚えているほうが野暮と言うべきか。(完)