●漢詩の構成①


 五言絶句は八ピース、なぜなんでしょう。


 ○○○●●
 ●●●○◎
 ●●○○●
 ○○●●◎


 二十字もあるじゃないか! 二十字も辞書を引くのか!

 いえ、そんなことしなくてもよいのです。


 まず、なぜ八ピースか。

 そもそも中国語、一字だけでもちろん意味をなしますが、一字だけじゃ日常会話で誤解を招くこともしばしば生じます。ですからむしろ、二字、三字の意味のカタマリを意識することが多い(らしい)。


 漢詩もそう。


 五言絶句(平起式)ならば、


 ○○ ○●●
 ●● ●○◎
 ●● ○○●
 ○○ ●●◎


 「二、三」が四つのカタマリになっています。これで八ピースです。


 七言絶句(仄起式)ならば、


 ●● ○○ ●●◎
 ○○ ●● ●○◎
 ○○ ●● ○○●
 ●● ○○ ●●◎


 「二、二、三」が四つのかたまり。十二ピースですね。

 これは、律詩についても同じです。



●漢詩の構成②


 まず起承転結、これは絶句用。


 【起】○○ ○●●
 【承】●● ●○◎
 【転】●● ○○●
 【結】○○ ●●◎


 普通にいう起承転結と同様に考えてください(というより、漢詩のこの形式から来ております)。

 また、ヒントとしては、例えば転では、自分の思い、人間について述べ、他は花が咲いた、鳥が歌うなど自然について述べるなど。その逆に、転で春になって雪がとけたと自然について述べるなら、その他は人間の動きを述べるなどが考えられます。どうぞ工夫してください。


 律詩では、対句表現をします。日本最古の漢詩集『懐風藻』より。


 【1】●●○○●
 【2】○○●●◎
 【3】以此芳春節
 【4】忽値竹林風
 【5】求友鶯嫣樹
 【6】含香花笑叢
 【7】○○○●●
 【8】●●●○◎


 今、漢字にしたところの【3】【4】が、それと【5】【6】が対句です。


 以此・「芳春」節
 忽値・「竹林」風


 【3】【4】はこんな風にあまり綺麗ではありませんが【5】【6】は、


 求友・「鶯」嫣樹……友を求め・「鶯」樹に嫣(わら)ひ
 含香・「花」笑叢……香を含む・「花」叢に笑う


 と、綺麗な対句になっています。


 ちなみに律詩の一、二行目を「首聯(しゅれん)」といい、以下二行ずつ「含聯(がんれん)」「頸聯(けいれん)」「尾聯(びれん)」と言うことがあります。

 つまり、「含聯」「頸聯」では対句を用いるわけです。