●百六韻


 すべての語(少なくとも、一般の漢和辞典にのっている語ぜんぶ)は百六種の韻に分かれます。漢和辞典があるなら、「百六韻」の表が載っていることが多いので、見てみてください。
 
 「平声」の「上平」のところには東、冬、江、支、微……などと書いてあります。この東や冬が、その韻のグループの代表ということです。


 さて、辞書で例えば「中」をひいてみます。


 すると説明の前の方、「なか」「うち」の意味にあたるところでは□の中に「東」と書いてあって、左下に○が書いてあります。これは、「東」と同じグループの韻だよ、という意味です。

 なお、同じ「中」の字でも、「あたる」「あてる」という意味では、□に「送」と書いてあって右上に○が書いているはずです。これは、「送」と同じグループの韻ですよ、ということ。


 つまり、「なか」「うち」の意味のときは「東」と、「あたる」「あてる」の意味のときは「送」と同じ韻になるので注意が必要です。


 辞書をひくのはメンドクサイ。

 確かにそうです。


 でも、引くとしても脚韻の部分だけなので安心してください。詩をよりよくしようという意識が出て来たなら、どんどんひけばいいのであって、面倒なのにひく必要はありません。


 辞書で調べて「東」と「中」が同じ韻だ、じゃあこれで韻を踏もう。

 この程度で最初のうちはいいでしょう。



●その他韻律の決まり


 他にも何だかんだたくさんルールはある訳ですが、それらに当てはまるような形にしてみます。

 例えば五言絶句、平起式の場合、以下のようになります(横書き、平を○、仄を●、韻を◎であらわす)。その他の形式は、この記事の最下部に示します。


  ○○○●●
  ●●●○◎
  ●●○○●
  ○○●●◎


 何だかオセロみたいですね。ひっくり返したくなりますが、そんなことをしてはいけません。平を○、仄を●、韻を◎とするのは、けっこう普通で韻の説明をするのに、みんな使っています。平平平仄仄……なんてするより、見やすいですよね。


 あ、質問ですか。

 これが一番短いけど、どこが八ピースなんだ!

 そうですね……。


 明日、説明しましょう。



【平仄式】


 五言絶句(平起式)

 ○○○●●
 ●●●○◎
 ●●○○●
 ○○●●◎

 五言絶句(仄起式)

 ●●○○●
 ○○●●◎
 ○○○●●
 ●●●○◎


 七言絶句(平起式)

 ○○●●●○◎
 ●●○○●●◎
 ●●○○○●●
 ○○●●●○◎


 七言絶句(仄起式)

 ●●○○●●◎
 ○○●●●○◎
 ○○●●○○●
 ●●○○●●◎


 五言律詩(平起式)

 ○○○●●
 ●●●○◎
 ●●○○●
 ○○●●◎
 ○○○●●
 ●●●○◎
 ●●○○●
 ○○●●◎


 五言律詩(仄起式)
 ●●○○●
 ○○●●◎
 ○○○●●
 ●●●○◎
 ●●○○●
 ○○●●◎
 ○○○●●
 ●●●○◎


 七言律詩(平起式)

 ○○●●●○◎
 ●●○○●●◎
 ●●○○○●●
 ○○●●●○◎
 ○○●●○○●
 ●●○○●●◎
 ●●○○○●●
 ○○●●●○◎


 七言律詩(仄起式)

 ●●○○●●◎
 ○○●●●○◎
 ○○●●○○●
 ●●○○●●◎
 ●●○○○●●
 ○○●●●○◎
 ○○●●○○●
 ●●○○●●◎