日曜日ということで午前中ばたばたしていたのですが、午後になってようやく手が空いたので大前にてお祈り申し上げて参りました(大前とは、自分のご奉仕する神社の神様の御前ということです)。


 その祈願詞は、以下のような意味のものです。


お聞き届けください、嘆いている人の声を。
今もやはり、不安な思いを抱いて、
嘆いて一日を終える人の声を。


この三月十一日という日、
陸奥国の東方の海底で大地震が起きて、
大津波まで岸辺に押し寄せて来て、
まさに今、多くの人を憂え苦しませ、
たくさんの物を壊し損っています。


そこで恐れ多いことですが、
(こちらの神社の)大前をお通し申し上げ、
関係する神々に御祈願申し上げるものです。


いち速く、荒れて悪意を持ってやって来る精霊をお鎮めください。
山や川を初め、様々な物を、早く元の姿にお戻しください。

お聞き届けください、今もやはり嘆いたまま夜を明かす人の声を。
不安な思いを抱いて、嘆いている人の声を。

大いなる海の神様、お鎮りください。
大いなる山の神様、お鎮りください。


 まず神主でなければできないことを、と思い、お祈り申し上げました。
 ただ、我々神主の日々の祈りが足りなかったのではと恐れる気持ちもまだあります。この「神主でなければできないこと」に加え、誰にでもできることを今後、して行きたいと思います。


●書き下し文
(各語の読みは唯一のものではありません。また、祝詞のいわゆる定型からは外れています。)


聞し食(め)せ、慨(うれた)む人の声をば。なほ安からぬ思ひ抱きて、嘆き暮す人の声をば。
是の弥生の十一日と云ふ日に、陸奥国は東(ひむがし)の方(かた)、青海原(あをうなばら)の底にて大地震(おほなゐ)在りて、大津波さへ岸辺に押し寄せ来て、今し数多(あまた)の人を憂へ苦しましめ、許許多(ここだ)の物をば毀(こぼ)ち損はしむ。
故(かれ)、畏(かしこ)かれど大前を通し奉りて、関(かか)づらふ神神の御前に乞ひ祈(の)み奉る物ぞ。一速(いちはや)く荒(あれ)び疎(うと)ぶる物をば鎮め坐(ま)せ。山川(やまかは)を初め種種(くさぐさ)の物は、疾(と)く速(すみや)けく元つ姿に立ち返らしめ給へ。
聞し食せ、なほも嘆き明す人の声をば。安からぬ思ひ抱きて、慨む人の声をば。
大海神、鎮り坐せ。大山神、鎮り坐せ。


●宣命体
(実際に奉書紙に記入した形で、下記< >内の字は小さめに、右に寄せて書いています)


聞<志>食<世>慨<牟>人<乃>声<乎婆>奈保安<加良奴>思<比>抱<伎氐>嘆<伎>暮<須>人<乃>声<乎婆>
是<乃>弥生<乃>十一日<登>云<布>日<爾>
陸奥国<波>東<乃>方青海原<乃>底<爾氐>大地震在<里氐>大津波<左閉>岸辺<爾>押<志>寄<世>来<氐>今<志>数多<乃>人<乎>憂<閉>苦<志麻志米>許許多<乃>物<乎婆>毀<知>損<波志牟>
故畏<加礼杼>大前<乎>通<志>奉<里氐>関<豆良布>神神<乃>御前<爾>乞<比>祈<美>奉<留>物<敍>
一速<久>荒<毘>疎<武留>物<乎婆>鎮<米>坐<世>山川<乎>初<米>種種<乃>物<波>疾<久>速<介久>元<都>姿<爾>立<知>返<良志米>給<閉>
聞<志>食<世>奈保<母>嘆<伎>明<須>人<乃>声<乎婆>安<加良奴>思<比>抱<伎氐>慨<牟>人<乃>声<乎婆>
大海神鎮<里>坐<世>大山神鎮<里>坐<世>