今日はなんだかバタバタしていますので、軽く神職の装束の話を(男性の場合)。


~新川の社務所から~

↑まずこちらのコーディネート、衣冠(いかん)と言います。でかいお祭りに着ます。
 頭にかぶっているのは冠、天皇陛下やお内裏様は後ろに伸びている纓(えい)が上の方に立っていますけれど、神職の場合、こんな風に垂れ下がっています。神葬祭の場合、くるくる巻いた纓をつけます(もともとは武官がつけるもの)。

 たまにテレビで「古式ゆかしく衣冠束帯に身をつつみ……」なんて言っていますが、「衣冠」と「束帯(そくたい)」は別物です。私は束帯を着たことがありませんし、たぶん一生着る機会はないんじゃないかと思います。だいたい、束帯って一人で着ることが出来ません。着せてもらうものです。このことからも束帯の方が格上だということが、お分りになるのではないでしょうか。衣冠の方は平安時代、夜の宿直時用の服装だったそうです。
 あ、でも、ひとりでお祭りに御奉仕することが多いなど、さまざまな事情で、自分で着るような状況になっているのであって、ここにご紹介する装束の全ては、本来は「着せてもらうもの」です。

~新川の社務所から~

↑こちらは斎服(さいふく)。上に着ているのは袍(ほう)です。色が違うだけで作りが衣冠と同じ(厳密には、衣冠の袍にはもようも入っていることがあります)。また靴や冠が黒く、右手に持っている笏(しゃく)が木の色なだけで、あとは白一色。私がいちばん好きな装束です。

 札幌近辺では、よそ様の神社の大きなお祭りに呼ばれて御奉仕するときや、自分の神社の宵宮祭(例祭の前日の晩のお祭り)でよく使用します。

~新川の社務所から~

↑こちらは狩衣(かりぎぬ)。頭が冠から烏帽子(えぼし)になりました。袴は、ふだんつけているものと同様でよいのですが、本来は衣冠のときと同じ指貫(さしぬき)というのをつけます。

 また、上に着ている狩衣に何かもようが入っていたり、緑色だったりしますが、それぞれいっぱい種類があります。私の場合、外祭用がクリーム色、内祭用が黄緑(冬)と薄いピンク(夏)で、何だかもようが入っています。

 今、いい加減なことを言いました。
 これ、有職文様(ゆうそくもんよう)という、昔からのもようであることが多いです。臥蝶丸(ふせちょうまる)、鴛鴦丸(えんおうまる)などミヤビな名前がついていますが、余り私は詳しくありません。

~新川の社務所から~

↑こちらは浄衣(じょうえ)。狩衣と袴を白一色にすればこんな風になりますね。
 衣冠の袍と斎服の袍の違いに似ていて、浄衣は白い色であるだけでなく、もようも入っていません。斎服同様、私はこの浄衣が好きです。白い服というのは、一般に祓を重視する祭事で使用されることが多いので、着て御奉仕している私自身も、すがすがしい気持ちになれます。

 ですが、格式で言えば順に、衣冠、斎服、狩衣・浄衣となりますけれど、なかなか当社では着る機会がありません。葬儀の祭、火葬場から遺族が戻られてから行われる帰家祭(きかさい)くらいでしょうか。


 ちなみに今日の記事でのイラストは全て、神社本庁のホームページにある素材を使わせていただきました。二次配布禁止、著作権者は神社本庁ですので、ご了承ください。