斎服の話のつづきです。この記事で一区切りにしたいと思います。


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この写真は袍(ほう)の下部です。両側にびよんと飛び出ている直角台形のような部分は蟻先(ありさき)と言います。antの蟻は全然関係なくて、もと「あまりさき」だったのが「ありさき」となったそうで、「蟻」は当て字のようです。また、中央部の長方形の部分は襴(らん)と言います。袍を実際に着たときにはこの襴が膝のあたり、蟻先はその両側でぷらぷらしています。


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これは腰の上あたり。中央のホタテのヒモみたいなのは、小紐(こひも)です。この紐を前の方に回して結びます。私の場合はへその上あたりでしょうか。また、小紐の下の横に長い台形の部分は、格袋(かくぶくろ)またはハコエと言います。写真では分りませんが袍本体には密着しておらず、ぴらぴらしています。この格袋の下に、抱紐(かかえひも)という長い紐をしめます。腰骨の下でぐいぐいとしめます。


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これは首まわり、楕円状のものを首上(くびかみ)と言います。この写真の向きでは、着た人の顔は左の方を向くことになります。楕円の上の方に少し飛び出たものがありますが、これも輪になっています(受緒・うけお)。その左に伸びている部分を、この輪に装着します。


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装着してみました。手前の×は糸を縫いつけてあるんですが、これは魔除けだそうです。その左の小さなカリフラワーのようなものが蜻蛉(とんぼ)で、これを上で説明しました受緒に入れて、留めます。よっぽど着古したものや乱暴に扱ったものでない限り、これは一度装着したら外れることはありません。


最後に、抱紐の補足(?)を。今回写真を撮り忘れたんですが、長いんです。計ってみると約3メートル半ありました。私には長すぎるくらいです。でも、ちょっと前にお話ししました新K神社さんでの研修会で、昔、恰幅のよいある方が特注で1メートル長くしてもらった、という話をうかがいました。もちろん、短い方がより困るんであって、長いのは余るのを何とかすればよいだけです。


総じて装束は、身体にあったものを身につけるのではなく、装束に身体を合わせる、といった方が普通ではないかと思います。