神様っていったい何なのか、色んなことを言う人がいますけれど、一番優れているのは本居宣長が『古事記伝』で示した定義でしょう。


さて凡(すべ)て迦微とは、古の御典等(みふみども)に見えたる、天地の諸の神たちを始めて、其を祀れる社(やしろ)に坐(い)ます御霊をも申し


カミとは、古典に登場する天地の諸々の神を初めとして、その神を祭っている神社にいらっしゃるミタマのこともそう申し上げ


又人はさらにも云わず、鳥獣木草のたぐひ、海山など、其余(そのほか)何にまれ、尋常(よのつね)ならずすぐれたる徳のありて、可畏(かしこ)き物を迦微とは云ふなり


また、人は言うまでもなく、動植物の類、海や山など、その他何であれ普通でなく「すぐれたる徳」があっておそるべきものをカミと言うのである


まとめると、


①古典(古事記や日本書紀などを指すのでしょう)に記載のある神

②神社に鎮まる神

③人やその他の生物、自然

④その他


上の訳で「すぐれたる徳」と括弧づきにしたのは、どう捉えるかちょっと難しいからです。ですが宣長はこの段のすぐ後に、以下のような補足を付け加えています。


すぐれたるとは、尊きこと善きこと、功(いさお)しきことなどの、優れたるのみを云に非ず


「すぐれたる」は尊い・良い・勇ましいなどの意味で優れたことだけを言うのではなく


悪きもの奇(あや)しきものなども、よにすぐれて可畏きをば、神と云ふなり。


悪いもの怪しいものなども、非常に優れていて畏怖すべきものを神と言うのである。


どうでしょうか。ここまでで引用は終わりなんですが、果たして、あなたが考える神様と同じでしょうか。全然違うという方はいらっしゃらないんじゃないかと思います。この宣長の定義を否定することって、(微力であることや、神職であることを考慮に入れなくても)私にはできません。