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2015-06-16-火 (2/2)【英米NEWS】パンデミック・リスクに意識低すぎる朴槿恵

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<2015年6月16日(火)英米NEWS>

昨日もお伝えしましたが、本日、急遽出張が入ります。このため、明日の当NEWS配信については、場合によっては休刊するかもしれません。あらかじめ、ご了承ください。

1 欧州市場、ギリシャの未来に戻る

Europe Markets Go Back to the Future on Greece

―――米国時間2015/06/15() 09:45 (日本時間2015/06/15() 22:45)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/europe-markets-go-back-to-the-future-on-greece-1434375952 )

今年(2015年)は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズにも登場した年ですが、アメリカ社会ではそれなりにインパクトのある映画だったらしく(「未来future」に「戻るgo back」という、英語として本来、あり得ない組み合わせのため)、あちらこちらでこの表現が出てきます。本日、WSJの「heard on the street」にも「Europe Markets Go Back to the Future on Greece」というタイトルの記事が出ていて、直訳すれば「欧州市場はギリシャの将来に戻る」ということですが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」部分で読者の関心を引こうとする点が浅はかな試みだとも言えます。内容としては「再び欧州の市場参加者の懸念がギリシャに戻ってきた」とするもので、月曜日の欧州市場の現状を述べているだけであり、大したことは言っていません。ただ、この手の記事が出てくる一方で、英米メディアが大騒ぎするほどギリシャ不安が深刻なのかと言われれば、それはそれで大いに疑問です。当職自身、ユーロ圏には通貨と財政の分断という深刻過ぎる制度設計上のエラーがあると考えていますが、そんなことは既に2010年から12年の危機の際に嫌というほど見せつけられた事実であり、ユーロ圏に内在する制度設計の不備という問題と、左傾化したギリシャの政府が国際的救済を反故にしようとしているがためにデフォルトに陥ろうとしているという問題は全く別です。やはり、WSJの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」記事を作成した記者のセンスは褒めてあげたいものの、大騒ぎし過ぎだとしか思えないのです。

2 ギリシャ危機で周辺国債売られる

Peripheral debt hit by Greek tensions

―――英国時間2015/06/15() 17:03 (日本時間2015/06/16() 01:03)FTオンラインより

(http://www.ft.com/cms/s/0/7ac51892-1370-11e5-ad26-00144feabdc0.html )

FTにも、ギリシャ危機で周辺国債が売られているとする記事が掲載されています。ただ、米国では別に「VIXボラティリティ指数」が急騰している訳ではないと記載されているあたり、記者のRalph Atkins氏のバランス感覚はなかなかのものです。ただ、ギリシャ危機については、やはり「英米メディアが大騒ぎし過ぎ」なだけではないかと思ってしまいます。

3 米国のジャンク・ボンドにバーゲン・ハント

US junk bond sell-off entices investors

―――英国時間2015/06/15() 14:03 (日本時間2015/06/15() 22:03)FTオンラインより

(http://www.ft.com/cms/s/0/f452f81e-129e-11e5-8cd7-00144feabdc0.html )

米国のジャンク・ボンド(あるいは「ハイ・イールド債」)市場で過去数週間、リテール投資家による資金流出により価格が急落(=利回りが急騰)したものの、その機会を捉えてアセット・マネージャーらが「絶好の押し目買いのタイミングだ」とみている、とするものです。この記事は上でも出てきたロンドン在勤のRalph Atkins氏に加え、ニューヨーク在勤のRobin Wigglesworth氏が執筆したものですが、ただ、記事を読んでもひたすらアセット・マネージャーらの話が続くだけで、正直、途中で読むのを辞めてしまいたくなるかもしれません。

4 メルケル発言受け通貨投資家に警鐘

Merkel puts currency investors on alert

―――英国時間2015/06/15() 12:45 (日本時間2015/06/15() 20:45)FTオンラインより

(http://www.ft.com/cms/s/0/8d3ec190-1121-11e5-9bf8-00144feabdc0.html )

アンゲラ・メルケル独首相が先週金曜日、ユーロ高を牽制する発言を行ったとされますが、FTは「Merkel puts currency investors on alert」とする記事を掲載しています。ただ、このFT記事にイチャモンを付ける訳ではありませんが、GDPに占める貿易依存度(輸出入の絶対額をGDPで割った指標)を無視している節があります。じつは、貿易依存度ではG7諸国の中で圧倒的に高いのがドイツ、圧倒的に低いのが米国と日本です。「日本は先進国の中でも特に輸出に依存した国だ」という、完全に事実誤認の言説を唱えるメディアが、日米英を問わず存在していますが、事実としてドイツの貿易依存度はGDPの7割程度に達している(※日本は3割程度)という点を踏まえておくことが必要です。つまり、日本にとって円安とは輸出企業が輸出を伸ばす(輸入企業が輸入を減らす)という意味で、GDPの2~3割程度の世界の議論であるのに対し、ドイツにとってはGDPの7割程度が為替により大きな影響を受けるのです。発展途上国まで含めるならば、貿易依存度が異常に高い国は、ドイツ以外にも韓国などの事例がありますが、これらの国の為替相場に対する関心は、日本人が考える以上に強いことは間違いありません。

5 韓国死者数16人に

South Korea Mers death toll rises to 16

―――英国時間2015/06/15() 10:15 (日本時間2015/06/15() 18:15)FTオンラインより

(http://www.ft.com/cms/s/0/54fdecd2-1330-11e5-bd3c-00144feabdc0.html )

さて、中東呼吸器症候群(MERS)患者が頻発している隣国の記事が、FTに掲載されています。韓国在勤のSong Jung-a記者による記事です。タイトルや記事ではSouth Koreaという表記が用いられていますが、引用に当たっては日本における慣例に従い、「韓国」と表記しておきます。記事の内容自体は今週号の週刊東洋経済にも書かれたとおり、正直、同国政府による「人災」という側面が強いというもので、日本語で報じられている内容とほぼ重なります。もともと、MERSはインフルエンザと比べると感染力が弱いため、院内感染という信じられない初歩的なエラーでもない限り、適切な隔離治療を行えば大流行(outbreak)は防げます。しかし、同国では朴槿恵(ぼくきんけい、英語表記ではPark Geun-hyeパルク・グエン・ヒェ。なぜ「r」の音が入るのかは知りません)大統領が国民に通常の生活に戻るように呼びかけたということであり、呆れます。韓国と言えば我々にとっては赤の他人ですが、地理的には隣国であるため、どうしても関心を持たざるを得ないという側面があるのです。

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