悪魔が昨日、し忘れたこと。@アメブロ -2ページ目

掌篇『殺りに行けるアイドル』

「可愛さ余って憎さ百倍」なんて言葉があるように、愛するからこそ壊したくなるものだ。そんな心の隙を見事に突いてみせたのが、アイドルグループ「BKA49」だ。名前の由来は「バンバン殺せるアイドルだけど死ぬのは苦しい」だとか。CD付属のマーダーライセンスを集めれば、好きなだけ推しメンを殺められる。何度でも蘇るのは、もともと死んでるゾンビだから。でも痛覚は残ってるため、生々しい断末魔がファン心をくすぐる。

※念のため書いておきますが、これは握手会での襲撃事件が発生する少し前に、競作サイト「てきすとぽい」にて公開されたものです。「BKA」は単にグループ名を逆にしただけですが、怪我をされた川栄さんが同名ユニットのセンターだったりしたので、僕が疑われたら困るなと思いましたが、現行犯で良かった。もちろん死者が出なかったことにも安堵しています。別に僕自身がこんなことしたいわけじゃなくて、そういう危険性もあるだろうって警鐘を鳴らしたつもりでした。でも本当に事件が起きてしまったのは残念。まあ僕の文章を読む人なんて殆どいませんから当然なことですね。

掌篇『雨の日は動けないから』

 部屋に籠りきりで小説を書き続けている。「これぞ晴耕雨読って奴だな」と思ったら「雨の時こそ畑の様子が気になるもんだ。農業なめてんじゃねーぞ」って脳内農家に叱られた。続けざま「雨の日は書くのではなく読むのだよ」脳内小説家にたしなめられて。「晴れは仕事、雨は読書。いつ小説を書けばいいのですか?」「貴様の頭は救いようのないほど曇っとるな」なるほど曇りか。でも此処には窓がないため書くのを止めて途方に暮れる。

掌篇『屍体の其の下には』

 櫻吹雪を探せども舞い散るはただ血飛沫ばかり。屍体の其の下に埋まっていると語ってくれた友人の幻視を手掛かりに発いてみたらば本当に種子を見つけた。これを育てれば咲くのだろうが何十年かかることやら。花見なる儀式がこんなに大変だとは思いもよらなかった。屍体を作るのは簡単だったというのに理不尽きわまりない。仕方なく肴を並べた屍体盛りで花を添えつつ一人酒にて夜を明かした。これが意外に愉しめたゆえ来年も殺ろう。

掌篇『タイーホされた不沈艦』

「このヒト不沈漢です」「署まで来てもらおう」「僕は殺人未遂の被害者ですよ。溺死させられそうになって」「問題はそこじゃない。あんな重しを着けられて浮かんでいられるのが妙だ。お前は船か?」「船も沈むでしょ。『艦これ』の艦娘みたいに」「あれはソープで働かされるって意味さ。DMMは本来アダルトサイトだぜ」「ところであの女は?」「風呂に沈めた」「警察がそんなこと」「あ、署じゃなくて所ね。ここヤクザの事務所」

掌篇『廃業記念日』

 フリーランス仲間の就職が決まったので集まることになった。「就職おめでとう」「めでたくなんてねーよ」「何いってんだ。普通に羨ましいよ。安定した暮らしが出来るようになったんだから」「単なる廃業さ。一人で食ってけなかったって意味じゃ」「まあ、そうとも言えるな」その1年後。「廃業記念日の集い」とやらに呼ばれてみたら、他にも就職者が沢山いた。それ以来かつての仲間から「廃業記念日」の知らせが毎日のように来る。

掌篇『改行記念日』

「私たち付き合って長くなるわね」「そうだな」「そろそろ改行しても良いと思うの」「それってプロポーズ?」「みたいなもの。本当は貴方から言ってほしかったんだけど」「ごめん、気が利かなくて。言いそびれてたんだ。もう改行しているような状態だったから。改めて行くよ。僕と改行してください!」「……はい」「ありがと。じゃあ早速」「そんな急に?」

「これからもヨロシクな」
「嬉しい。今日は改行記念日ね。忘れないでよ」

掌篇『アンテナ地獄』

「おかしいなあ。さっきから全然つながらない。アンテナ3本、立ってるのに」「つながるわけないでしょ。勃てるモノ間違ってるし」「そっか今、ネットじゃなくてエッチしてるんだった」「こういう時にスマホいじるの止めなさいよ」「せっかくだからプレイ実況したくて」「そんなことだろうと思って電波の届かない部屋を選んだの」「じゃあセクロスは無理だ」「何でよ?」「言わなかったかな。オレ、電波ないと勃たない機種だから」

掌篇『最初の投稿がキリ番だったので』

 次もゲットしたくなり連続して書き散らしている。最初にここを見つけた時、作品数はジャスト100だったから、101番目と思い込んでいた。でも最初の投稿は主催者による説明文だったから、投稿作品という意味では100番目と考えて良いだろう。もうすぐ200作に届きそうだから、またキリ番がほしくなった。でも偶然はそうそうないので自分で埋めることにした。

掌篇『テレビ地獄』

 小説を書くべきところなのに、リプライみたいなことをしているのは良くない。そういうのはツイッター2chを使えば済む。でももしかするとここも似たような場所かもしれないと思って調べてみたら、実はテレビだった。しかも2chどころか200chもあるじゃないか。テレビっ子には夢のような話だ。あれもこれも観られるとは何て贅沢な環境だ。喜んだのも束の間、番組表を確認するのに忙しくて、肝心のテレビを観る暇がない。

掌篇『題名に僕の名前があったので』

 読んでみたら個人的には面白かった。どっちが勝つか興味深いが、いずれも読者を選ぶ作風だから順位は厳しそう。ちなみに榎本さんの作品。これは勝手に名前を出された仕返し。そんなことは本来なら感想欄に書くべきだが、小説に書いちゃダメなんて法律はないし。って、これじゃただのツイートだね。何かオチが必要だ。すると背後から悪魔が現れて言う。「お前の願い事を何でも叶えてやろう。ただし今すぐに答えないと魂をもらうよ」