旦那の肺癌がわかったのは2023年年明けてすぐのこと
元旦にはいつもの年のように毎年通っている神社に2人で朝から初詣に出かけて私は3年連続で大吉をひき、旦那は中吉か小吉だったので私におみくじ交換しようなどと呑気に話して2人で笑っていた
それが一転癌の宣告を受けることになった
まだ癌と確定したわけではないけど手術はできないとのことなので病期はおそらく4だろうと推測できた
癌に対して無知な私は癌イコール死だとはその時は思わなかった
でもこれまでも長い私達の夫婦生活でいろんな困難が襲ったけどこれが2人にとって大きな困難だということは意識した
これまでも2人で様々な困難を乗り越えてきた
きっと癌も乗り越えることができるはず、いや乗り越えてみせると私は覚悟を決めた
前年にいろんな保険に入りすぎなので少し整理しようと思っていたけど忙しくて解約できていなかった
解約しなくてよかったと胸を撫で下ろした
たしか各保険に癌の補償をつけていて癌先進医療特約は1億にはなるはず
お金はいくらかかってもいい
できるかぎりの治療を受けよう
そう思った
旦那は検査が終わって病室を出た階段を降りる時少し涙ぐんでるように見えた
ほんとはこの時から旦那の命のカウントダウンは始まっていたのだ
それなのに私は癌に立ち向かおうとその思いで頭がいっぱいで旦那の気持ちに寄り添うことができなかった
この日私は診察に立ち会わなかった
旦那もそこまで深刻ではないと思ったのか私が一緒に診察室に行った方がいいか尋ねたら1人でいいと言った
ほんとは一番重要な診察だったはずだ
この時旦那はどんな話を聞き、どんな表情をしたのだろうか
断言はしていなくても旦那にとって初めての余命宣告で旦那は死を意識したに違いない