「絆」より悲しみが人を潤す/山田太一
(2014/1/9朝日新聞21面)
私が好きな脚本家は倉本總さんで、そのライバルが山田太一さんだった。今は山田太一さんの良さのがしみてくる。
「(前略)
世間でマイナスと判断されるものには、実は人間を潤している部分がいっぱいあると思います。人生でも悲しかったり、つらかったりする思い出の方をずっと細かく覚えているものです。リストラに直面しているサラリーマンたちは宿命や限界に鍛えられている側面もある。災害や病気を経験している人とそうでない人とでは、人間の差が生じていると思います。
急行電車に乗っていると、止まらない駅のホームにぽつんと男がいて、「あれは自分だと思った」という内容の詩がありましたが、ぼくは、各駅停車の駅にいる人が、豊かでかっこよく見える。そうやって時間の遅さをあえて拾っていくべきではないかと。マイナスと一緒に生きることを自然に受け入れている人の新しい魅力を書いてみたいと思っています。」
是非是非そのようなストーリーを、山田太一先生、宜しくお願いします。m(__)m