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 「クローン」
 
 自分自身がオリジナルで無いことは分かっていた。それは肩の刻印を見た時から覚悟していた事だ。番号によって管理された存在。自身がクローンである事を了解しながら僕は施設を脱走したのだった。健全な身体と自我を残したのがヤツらのミスである。異端として廃棄されるぐらいなら与えられた能力の許す限り逃げ切ってやろうと思う。
 しかし、まがい物の分際でオリジナルと同等の活動能力を有しているというのが思い上がりだったのだろうか、暗い廊下の途中で僕は突如息切れを起こして跪いた。培養液という羊水から出てしまっては長く動く事もままならない胎児の様に自分が非力に感じられた。カツーン、カツーンといった冗長な歩みの音が廊下に響き組織のヤツらが追いついて来た。まるでこうなる事は予め分かっていたというような余裕のある態度だった。その中心に、僕がいた。
 その場で即刻、銃殺処分される刹那、僕は僕と目が合った。そのときの感情は形容のしようが無かった。自分自身と対峙した違和感と気持ちの悪さに混じって、自身のオリジナルに対する、まるで自分を愛してくれない父親に対するような、憎悪の混じった僅かな愛情に近いものを感じた。そして次の瞬間には全ての世界が闇に還った。