shingo722のブログ

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 「ラピュタ」
 
 それは不思議な光景だった。青空が広がり太陽の光が降り注いでいるにも関わらず、空に浮かんだ一片の雲から雨が地上に降り注いでいた。
「まるでファフロツキーズだな」
 僕はそんな雨の様子を見ながら言った。
「ファフロツキーズ?」
 隣に並んだ彼女が聞いた。
「空から不可解な物が降ってくる現象。1950年代のアラバマでは空からナマズが降り注いだ」
「ナマズが?」
 彼女は怪訝そうに言った。
「でも今降っているのは雨よ?」
「まあね」
 僕は認めた。
「でも場違いな感じは否めないだろう?」
「ふうむ」
 彼女は少し何かを思案している様子だった。
「でもさ、一体どうして空からナマズなんてものが地上に降り注いだと思う?」
 しばらく後で彼女は好奇心に満ちた目で僕を見ながら言った。
「そうだね、諸説あるけど、僕は天空で暮らす人々の落し物だと思うんだ」
「どういうことかしら?」
「つまりね、『天空の城ラピュタ』みたいに天高くには文明都市が浮かんでいてね、そこに暮らす人々がうっかり色んな物を落としてしまうことがあると思うんだ」
「ふうむ」
 彼女はまた少し考え込んだ。そして、
「あなたって割にロマンチストな所があるのね」
 そう微笑んで言った。僕はそんな風に、くだらない妄想を否定しないでいてくれる彼女が好きだった。そして僕らはしばらく2人並んで空を見上げながら、そのラピュタ的天空都市に想いを馳せた。