こんにちは。インターナショナル家庭教師の伊藤慎吾です。
数学を指導しているインター10年生(高1)、C君のお話。
数学がとても苦手なC君。
計算問題はAlgebra 1(代数)を再履修し、かなりできるようになりましたが、
今学期は特に苦手な図形や証明が入ってくるGeometry(幾何学)を履修しています。
学期の始めから、
"I am not good at math!"(僕は数学が苦手だから)
"That's why I hate math!"(だから数学は嫌いなんだ)
"Maybe I will try?"(やってみるかも?)
と、言い訳ばかり並べたり、逃げ腰だったり。。。
その姿勢を懸念していましたが、指摘するべきタイミングが来るまで待とうと思いました。
そうこうしていると、お母様から
「自分はアホやから、ADHDやから、と理由をつけては頑張りません」
「努力はまやかし。みんなもともと賢いだけ。だから自分は頑張っても結果は出ない。だからやっても無駄なだけ、が彼のいつものいいわけです。」
「自尊心が低く、失敗するのが怖い。頑張って失敗することを恐れている、というのもありますが、がんばらなさすぎです」
「私の言葉は響かないですが、先生の言葉は響くので、どうぞ厳しくご指導よろしくお願いします」
とご連絡いただき、頃合いだと思いました。
生徒の自宅へ向かう道中、どうやって話を持って行こうか、ずっと考えていました。
指導はいつも通り進めて、後半に差し掛かる前の休憩時間に話を切り出しました。
なるべく落ち着いたトーンで、ゆっくり話しました。
私 "I have one thing concerned about you. Do you have any idea?"(君のことで心配事が1つある。何か分かる?)
C君 "Hmm... That I might not be able to pass Geometry?"(うーん。幾何学の単位を落としてしまうかもしれないこと?)
私 "Nope. I am concerned about your attitude towards studying. You have a tendency to make excuses and say something like 'I hate math' or 'Maybe I will try?'. Do you recognize that?"(そうじゃない。君の勉強に対する姿勢を心配している。君は「僕が数学が嫌いだ!」とか「やってみるかも?」とか、言い訳ばかりする傾向があると思う。その認識はあるかい?)
C君 "Yeah"(うん)
私 "I am concerned because that tendency might hinder you from growing. So, instead of saying 'Maybe I will try?', I want you to say 'I will do my best'."(何で僕がそれを心配しているかっていうと、それが君の成長の妨げになると思うからやねん。だから、「やってみるかも?」じゃなくて、「自分のベストを尽くしてみる」と言うようにしてほしいねん)
私が話している間、C君は静かに頷いて聞いてくれていました。
それから3週間後、期末試験前の最後の指導が終わった後、お母様から
「先生に言って頂いてから、息子の勉強時の姿勢が変わりました」
「今まではすぐ諦めていたのに、今は『やれるだけやってみる』と前を向いています」
「息子の成長が見られました。先生のおかげです。本当にありがとうございます」
と目をウルウルさせながら伝えて下さいました。
僕が彼に伝えたかったこと、ちゃんと受け取ってくれてたんやなぁ。
ジーンときました。
「数学なんて勉強して、社会に出た時に何の役に立つんですか?」って良く聞かれます。
論理力を鍛えるためとか、ものごとを分解して考える力を鍛えるためとか、色々あると思うんですけど、
数学が苦手な子にとっては「自分の弱さと向き合うため」という目的もあるのかなぁ、と思います。
数学の内容そのものより、むしろ、数学を通して自分の心と向き合うことの方が大事なんじゃないかと思っています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた!