責めて、
恨んで、
憎んで、
せっついて、
ルールだからと自分を納得させて
相手が分からなくなって、
信じていたものが全部なくなって、
最初からなかったんだと思ったり、
そうじゃない、話したらきっとわかるって思ったり、
恰好を付けたり
投げ出したり、
がんばってみたり、
流されてみたり、
二人で途方に暮れて、
収拾がつかなくて
愛してるのか、ただの意地なのか、惰性なのかも分からなくて
じぶんが時々遠くて


そう、こんなはずじゃなかった。


こんな現実、受け入れられない。


って気付いた。

まずは今の自分の感情を整理する事だ。


「こんなはずじゃなかった」先の未来なんて、
引き受ける勇気も準備も出来てない。


できるかどうか分からない。



なんでか今日、繰り返し思い出すのは昔、昔の出来事。
18歳の弟が「オヤジの事、いつか治してやりたい。そんで普通の話がしたいって思ってさ」
そう告白した時の笑顔。
「え!姉ちゃんも?」って二人で笑いあった時の事。


よく分からないけれど、答えはきっとそこにある。
現実を受け入れて、なお、前に進む力が私の体の中にも流れているっていうこと。


人間には、だたしいちからがそなわってる、そうわたしは信じる。
それは今回の私にとって残酷な結果かもしれないけれど。



わたしのはなし、をしよう。

私は、シノ。もちろん、嘘の名前。ハタチのころに付き合っていた男の名前からとった。

今年33歳になる、独身の女。一応手に職のある、会社員。

私は、「不倫」をしている。


ふりん、てなんだ?

私達はそんな言葉を使ったことがない。

「ねえこれは、不倫?」

これまで私たちの間では、冗談でしかなかった。
その言葉に、恭介はいつもひどく怒って、私はそれが冗談でしかないと、



不倫じゃない。こころから、信じ込んでいた。微塵の疑いもなく。




本当に笑えない。

世界中の恋人同士が、自分たちにどんな名前をつけるっていうのだろう?

これを読んでくれている、貴方は名前をつけたことがありますか?

「レズビアン」
「ゲイ」
「結婚を前提とした、まじめなお付き合い」
「略奪愛」
「近親相姦」


ウケる。

それ、どんな気持ちがしましたか?


関係に名前なんてない。
そりゃそうだ。だけれど、どっかで踏ん切りをつけて、そう呼び始める。




わたしはシノ。ほんとうの、はなしをしよう。



私が、もうどうしようもなくなると彼女に、還るように。

もしも、私たちが男女であったらきっといたであろう、その愛の結果に。
そしてそれが一人の人間であったときに。
執着するということが、想像がついた。


どうしようもなくなって、死ぬほどお酒をあおって、思い出の曲をめぐって、思いつくもの全部をyoutubeで探して、結局、最後にはあの歌にたどりついて、目が覚めたように気づくように。


ああ。分かった。

ずっと、私は亡霊のように生きていたんだ。
現実を生きていなかったんだ。

恭介の言葉の意味がわからなくて当然だ。
きもちが わからなかったんだから。

私の罪の意味と、恭介の罪の意味と、

私の人生の重さと、恭介の人生の重さと。

未来と。過去と。
作り出すものと。
壊してしまうものの重さ。

やっと分かった。

忘れない。私は理解した。